視察レポート

Report

東京都庭園美術館・国際子ども図書館

 「名建築で昼食を」というテレビドラマがある。2020年夏に放送され、そのスペシャルドラマとして「横浜編」が2021年に、続編となる「大阪編」が2022年に放送された。東京都庭園美術館と国際こども図書館は、東京の建築物を対象とした2020年のドラマでとりあげられた10の建物のうちの2つだ。どれも興味深い建物として見ていたが、先日ようやくこの2つを訪問することができた。

 

 東京都庭園美術館は、港区白金台という高級住宅街にある緑豊かな施設だ。「庭園美術館」というので庭園にアート作品が展示されているのかと思ったが、メインは重要文化財である旧朝香宮邸であり、年に1度「建物公開」が行われる。その時だけは、管内撮影も可能だ。その他の期間は、旧朝香宮邸を展示室として展覧会を開催しており、展示内容によっては建物の壁や窓が一部、覆われている場合があり、建築の造作を見ることができない場合もあるという。

 今年の建物公開は4/16/4。「邸宅の記憶」と称する展覧会には多くの建築ファンが訪れ、アール・デコ様式の粋を尽くした瀟洒な建物を堪能していた。思わず写真を撮りまくってしまった。庭園には無料で入ることができ、くつろいでいる人々も。贅沢な時間を過ごせるのがうらやましい。ドラマのようにレストランで昼食をと思ったが、予約で満席。しかたなく、近くの港区郷土博物館(旧公衆衛生院、港区指定文化財)のカフェへ。思いがけない巨大な建物に驚いた。

 

 国際子ども図書館は上野公園に隣接する児童書専門の国立国会図書館である。名称から大人が入ってよいのかと一瞬躊躇したが、建物見学用のパンフレットも置かれていて、建物見学者にも開かれている。もともと帝国図書館として建設されたもので、当初は中庭を取り囲むロの字型の建物とする予定だったが、日露戦争に伴う財政難により一部が建設されたままの未完の建物だった。2002年に国際子ども図書館に転用されるにあたり、安藤忠雄事務所と日本設計の設計によう改修工事が行われ、中庭側にアート棟が建設されるとともに、旧帝都図書館の中庭側に増築され、外壁が内部空間に取り込まれた。その結果、道路側からみた歴史的な景観と中庭からの現代的な景観が共存する建物となっている。

 たまたま訪問した際に展示会「「東洋一」の夢 帝国図書館展」(3/287/16)を開催していて、普段は撮影不可とされている本のミュージアム内も自由に撮影できた。ここのカフェは増築部にある。食券を購入するシステムで気軽にカフェを楽しめる。

 

 「東京」「横浜」「大阪」と来たら、「名古屋編」もぜひと思うが、果たして名古屋の名建築で昼食を楽しめるといったらどこだろう。

東京都庭園美術館
東京都庭園美術館
東京都庭園美術館 内部
東京都庭園美術館 内部
東京都庭園美術館 庭園
東京都庭園美術館 庭園
国際子ども図書館
国際子ども図書館
国際子ども図書館 左がアーチ棟
国際子ども図書館 左がアーチ棟
(2023.5.2/石田富男)

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