視察レポート

Report

ソウル路7017

 先日、韓国のソウルへ旅行に行った際、かねてから興味のあったソウル路7017を訪れた。

 ソウル路7017は、ソウルの玄関口であるソウル駅と南大門市場等の人気観光地や周辺ホテル、地下鉄駅等計17カ所を繋ぐ全長1,024mの歩行者専用路である。このソウル路、かつてはソウル駅高架車道として1970年に開通した車道であった。開通して45年経過し、橋の老朽化問題で撤去が検討されていたが、2017年、リノベーションにより歩行者専用路として生まれ変わった。

 

 全長1,024mの歩行者専用路には、植栽がびっしりと配置されており、まるで植物園を歩いているかのよう。目の前に広がる緑いっぱいの光景の背景には、大都会の高層ビル群が立ち並んでおり、そのコントラストがおもしろい。植栽と一体となったベンチも至る所に設置されており、都心の風景を眺めながら一息つける空間が作られている。また、所々に強化ガラスの床板も設置されており、足元に行き交う電車や車を見下ろせるスリルが味わえる仕掛けがちりばめられ、遊び心が感じられる。訪問したのは平日の昼間であったが、会社員やこども連れ、高齢者など様々な年代の利用者が見受けられ、皆気持ちよさそうに都心の空中散策を楽しんでいた。夜間はライトアップされソウルの夜景スポットになっているとのことで、昼夜問わず、時間を過ごすことができそうだ。

 

 東京でも、廃止される高速道路を歩行者中心の公共的空間へ再生するプロジェクトが現在進行中であり、高速道路上を歩行者空間として活用する先行実証実験が行われている。整備完了の目標時期は2030年代~2040年代。自動車のためのインフラ空間を人中心のインフラ空間へと転換する大胆な取組が、日本で実現する未来が待ち遠しい。

 

地上から見たソウル路
地上から見たソウル路
都心の緑あふれる空中回路
都心の緑あふれる空中回路
(2025.6.17/青山瑠衣)

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