視察レポート

Report

イケフェス大阪2019

 

 「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」、略して「イケフェス大阪」。毎年秋の週末に大阪の魅力ある建築を無料で公開する日本最大級のイベントとして定着している。奇しくも、スタートは愛知登文会の建物特別公開(今年から「あいちのたてもの博覧会(あいたて博)」と命名)と同じ、今年で6年目。昨年までは建物特別公開の日程と重なり、参加できなかったが、今年はイケフェス大阪のメイン日を外してあいたて博の日程を設定、はじめてイケフェスに参加することができた。

 「生き生き」とその魅力を物語り続けている建築というコンセプトのもと、登録有形文化財となっているような歴史的建築物から最近のビルまで多様性に富んでいる。公開日にはガイドブックを手にした人々がまちを行き交い、建物の前に行列を作っている。事前予約の必要なツアーの中には10倍以上の申込があるものもあるという。私の場合は9つのツアーに申し込んで5つが当選、そのほかに当日先着順の3つのツアーと自由見学のできる9つの建築を2日間で見学した。船場・中之島を中心に集積しており、その他も公共交通が便利なのでアクセスしやすく、多くの建物見学が可能だ。

 イケフェス大阪としては6年目であるが、大阪市による「生きた建築ミュージアム事業」はその前年の2013年から始まっており、2013年には15件の公開が行われた。この事業の中で50件の「生きた建築」を有識者会議の議論によって「大阪セレクション」として選定し、これを中心とした建築を一斉に公開する取組みとして始まったのがイケフェス大阪である。2014年、2015年の2年間は大阪市主催で実績をつくり、その成果を踏まえて2016年度以降は企業と有識者を中心に実行委員会を立ち上げてスポンサーを募り、201676件、2017101件、2018113件と数を増やし、2018年の参加人数はのべ約43千人と発表されている。今年の参加は169件と昨年の1.5倍に増加しており、参加人数は大幅に伸びるものと予想される。公開する側が見てもらうことをありがたく思い、参加者も熱心に見学している姿が印象的だ。イケフェス大阪がまちに定着しているということを感じた。

 あいたて博の件数が50件程度に留まっているのに対し、イケフェス大阪の参加件数がこれだけ伸びているのは、公開する施設側(特に企業)が参加することにメリットを感じ、イケフェスのために人員を配置していることが大きいように思う。産官学連携や市民協働、広報の工夫など学ぶべき点は多い。あいたて博が継続して実施できるよう提案していきたいと思う。

 

 

大阪ガスビル かつての東西軸平野町通と新たな南北軸御堂筋の角に立つ。南館が国登録有形文化財。先着順のガイドツアーに参加。
大阪ガスビル かつての東西軸平野町通と新たな南北軸御堂筋の角に立つ。南館が国登録有形文化財。先着順のガイドツアーに参加。
青山ビル 蔦の絡まる住宅として建設され、今はテナントビルに。大阪登文会の青山事務局長が所有。ガイドツアーに参加。
青山ビル 蔦の絡まる住宅として建設され、今はテナントビルに。大阪登文会の青山事務局長が所有。ガイドツアーに参加。
リバーサイドビルディング 土佐堀川沿いに建つ築54年の国登録有形文化財のビル(右側川沿いの5階建ての建物)。高速道路の構造を応用し、窓側に柱がないことから非常に開放的。トークセミナーに参加。
リバーサイドビルディング 土佐堀川沿いに建つ築54年の国登録有形文化財のビル(右側川沿いの5階建ての建物)。高速道路の構造を応用し、窓側に柱がないことから非常に開放的。トークセミナーに参加。
スペシャルツアー「日本建築協会Presents! 天王寺の近代遺産と下寺町の台地を歩く」に参加。当選した4つのツアーのひとつ。戦後、RC造で再建された四天王寺は興味深い。
スペシャルツアー「日本建築協会Presents! 天王寺の近代遺産と下寺町の台地を歩く」に参加。当選した4つのツアーのひとつ。戦後、RC造で再建された四天王寺は興味深い。
船場ビルディング 路地を高層化したまちのようなビル。特別公開に参加。参加証によって一度に入ることのできる人数を制限している。
船場ビルディング 路地を高層化したまちのようなビル。特別公開に参加。参加証によって一度に入ることのできる人数を制限している。
(2019.11.1/石田富男)

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