視察レポート

Report

田峯小学校と田峰観音

 愛知登文会が発行する愛知県内の登録有形文化財の魅力を紹介する冊子の第2弾のテーマは「学校」。このほど、ようやく版下原稿が完成し、3月の下旬には会員の手元に届く予定となっている。取り上げたのは小・中学校関連が4、高校関連が5、大学関連が4、そして門柱が13+1だ。昨年はこの取材・写真撮影で各地を訪問したのだが、改めて多様性に富んだ愛知県内のまなびやの魅力を感じた次第。ぜひ、手元にとって読んでいただくとともに、見学できる施設も多いので現地を訪問してもらえればと思う。

 

 興味深い建物は多いのだが、その中で今回紹介したいのが設楽町にある田峯小学校である。

 昭和2年建築の現役の木造校舎で、赤い鋼板瓦の平屋の木造校舎が水平に伸び、運動場から眺めると、夏の青空と緑の木々の中でその姿が映えている。そこで、校長先生から田峰観音の例祭で子ども歌舞伎が奉納され、子ども達は正月明けからその練習に打ち込むというお話を聞かせていただくことができた。最初、全校児童数が11名ということを伺った際に、よくそんな小数の小学校が残されいるなあと不思議に思ったが、その大きな要因は子ども歌舞伎にあるのではないかと感じ、その様子をみたいと2月の例祭を見学した。

 例年だと雪の時期にあたる。今年は暖冬で雪を心配することはなかったが、やはり寒い。夏に訪れた際に地歌舞伎舞台の前に仮設の観客席が作られると聞き、その姿も見たかったのだが、木材と竹で作られた構造の上にグリーンのシートが被われていたのは寒さ対策としては当然ということなのだろう。仮設の観客席は満員で、その中で子ども歌舞伎が始まる。第1幕では、4月に入学する子どもが面箱持ちとして登場。終了後、校長先生とのトークも行われ、それを地域の人たちが温かく見守っていた。地域のコミュニティの場として祭りが生き続けているのだということを感じた。その祭りを存続する上で小学校が重要な役割を果たしているといえよう。

 蛇足になるが、「田峯」は「たみね」ではなく、「だみね」と読み、田峰観音だけが「峰」の漢字が使われている。その理由を知りたかったがわからず。知っている方が見えたら教えてほしい。

田峯小学校(8月)
田峯小学校(8月)
田峰観音への階段(2月)
田峰観音への階段(2月)
夏の地歌舞伎舞台。舞台の前には盆踊りの櫓が設えてある
夏の地歌舞伎舞台。舞台の前には盆踊りの櫓が設えてある
地歌舞伎舞台の前に仮設の観客席が設けられる
地歌舞伎舞台の前に仮設の観客席が設けられる
田峰観音例祭での子ども歌舞伎
田峰観音例祭での子ども歌舞伎
(2020.3.13/石田富男)

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