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瀬戸にはオオサンショウウオがいる!

 

4/5、広島市の原爆ドーム近くの元安川で野生のオオサンショウウオが発見された。発見者のツイートは広く拡散され、翌々日の7日に広島市安佐動物公園の職員に保護された。動物公園は、河川の名称からモトヤスと呼んで観察や治療をしたが、残念ながら同22日に死亡が確認されたという。当公園は50年以上前からオオサンショウウオの研究を続けており、2021年には記念誌「オオサンショウウオを知る 守る そして共に」を発行するなど、オオサンショウウオ研究の一端を担う。

 

オオサンショウウオは、サンショウウオの仲間(サンショウウオ亜目)のうち大型の日本の固有種を指し、平たい頭と長い尻尾、短い手足といった見た目と、山椒のような匂いが特徴の両生類である。国の特別天然記念物に指定され、環境省や国際機関(IUCN)のレッドリストにも記載されている貴重な生物だ。近年国内では、外来種である(が、絶滅危惧種のため単純に駆除できない)チュウゴクオオサンショウウオとの交雑が問題となっている地域もある。

 

在来種は岐阜県から九州北部に生息するとされており、生息地の東端ともいわれているのは、愛知県瀬戸市北部を流れる蛇ヶ洞川である。瀬戸市では、「歴史文化基本構想」(平成292月)で瀬戸市をかたちづくる文化遺産テーマの一つとして「自然との共生~豊かな自然とその再生~」をあげたり、「瀬戸市自然環境の保護及び保全に関する条例」(平成24101日施行)に基づき瀬戸市特定地区下半田川町蛇ヶ洞川エリアを特定地区に指定したりするなど、自然環境と生物の種の保全に努めている。

 

私は、20198月と20207月にオオサンショウウオの夜間観察会に参加した。瀬戸市と地元の保護組織である「瀬戸オオサンショウウオの会」が主催するもので、生息調査の様子を事前予約制で一般に公開している。あらかじめ職員が人口巣穴などから捕獲しておいたオオサンショウウオが浅く水を張ったPPケースに入れられ、参加した子どもや大人は職員から説明を受けながら間近で眺めたり胴体を触ったりできる。オオサンショウウオは、前脚は4本指、後ろ脚は5本指。人間の赤ちゃんのような短くてむくむくした形がかわいらしい。平たい顔の左右両端についた小さな目はまだら模様に紛れて一見して見つけにくいが、目と認識したときにはその鋭さに驚いた。オオサンショウウオは川の生態系の頂点にあるというから、この目で虎視眈々と獲物を狙っているのだろう。

 

市はこうした観察会と称した個体調査を毎年行っており、生息数や成長状況の把握に取り組んでいる。これまでに捕獲したことのある個体かどうかを頭部に埋め込まれたICチップで識別する。底に目盛りのついた細長い箱状の計測板で体長を測り、メジャーで頭部や尻尾のサイズを測る。目視できる傷があればそれも記録する。次に、大きな網に入れて吊りはかりで体重を測る。そうした情報を個体ごとに専用のシートに記録する。夜間観察会ではそうした様子を見ることができ、とても面白かった。

 

その他にも瀬戸市では、地元企業と共に河川の清掃活動を行ったり、大学と協働でオオサンショウウオ保全プロジェクトを立ち上げたりと、生態系の保全のために様々な活動を行っている。蛇ヶ洞川の環境がオオサンショウウオや多くの生物にとって良い環境であり続けるために、最注目で応援したい活動だ。

 

実物の観察の前に蛇ヶ洞川の生物について説明を受ける
実物の観察の前に蛇ヶ洞川の生物について説明を受ける
間近で観察でき市職員に丁寧に解説してもらえる
間近で観察でき市職員に丁寧に解説してもらえる
体長計測の様子
体長計測の様子
(2022.4.28/日高史帆)

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