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旧小学校施設を活用した「なごのキャンパス」オープン

 名古屋の広域拠点となる名古屋駅至近にあり、児童数の減少に伴う小学校の統廃合により使われなくなった旧那古野小学校施設が、リノベーション型活用によりベンチャーハウス「なごのキャンパス」として今年の1028日にオープンした。

 この事業は、2018年度に名古屋市が実施した民間事業者プロポーザルにおいて採択された東和不動産()を代表とする共同事業者の提案に基づくもの。事業期間はリニア中央新幹線開業を踏まえた15年間、事業コンセプトは「ひらく、まぜる、うまれる 次の100年を育てる学校」で、旧那古野小学校が1909年に開校後100年以上にわたって人材を輩出し地域コミュニティを支えてきたことを意識したものとなっている。主な用途としては、3階建て校舎の多くの旧教室にベンチャー等のオフィステナントが入居し、元職員室をコワーキングスペース(フリー席)、旧給食室を飲食店舗とし、2つの旧教室を使って40席分のシェアオフィス(固定席)としている。他にはレンタルスペースとして1230名程度の会議室9室、旧体育館はスポーツ、催事、撮影等で利用できる。サービス面では、地元の大学、商工会議所、大企業とネットワークを形成し、スタートアップ企業の各種支援を行うこととしている。オープンに先立ち、11月19日に市内NPOが企画した講座と1025日に開催された竣工式・内覧会に参加したが、外観をはじめ内装や備品など所々に小学校らしさを残しつつリノベーションされ、スタイリッシュな空間として整備されていた。

 ところで、このプロポーザルでは名古屋市が「旧那古野小学校施設活用方針(20183月策定)」を提示しており、この方針では3つの活用の方向性「広域的な交流の促進」「産業・知的資産を活かした創造」「地域力の創造と発展」が示されている。現地を見た印象としては、2つ目の「産業・知的産業資産を活かした創造」は着実に実現していけそうな雰囲気が見られた。一方、残り2つの方向性「広域的な交流の促進」「地域力の創造と発展」については、現時点ではオフィスを中心としたテナント施設として利用者が限られることから、開かれた施設となるような仕掛けが必要だと感じた。例えば旧校舎の雰囲気を楽しみながらミーティングや交流イベントにも活用でき、地元や市内外の様々な人々や団体を巻き込むことで空間の面白い使い方もできそうである。地域に開かれた「育てていく施設」「市内外の多くの人が利用する交流拠点」となることを期待したい。

 

竣工式当日のなごのキャンパス入口
竣工式当日のなごのキャンパス入口
グラウンド側から見た建物。奥に雲がかかる名駅の超高層ビル群が見られた
グラウンド側から見た建物。奥に雲がかかる名駅の超高層ビル群が見られた
旧職員室を活用したコワーキングスペース。オープンキッチンがありイベント等にも活用可能
旧職員室を活用したコワーキングスペース。オープンキッチンがありイベント等にも活用可能
旧給食室を活用した飲食店
旧給食室を活用した飲食店
(2019.11.8/浅野健)

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