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桑名駅西土地区画整理事業で変わる街並みとライト風建築

 

 桑名市の玄関口桑名駅は、東西をつなぐ自由通路や橋上駅舎の整備が進み、駅東口は駅前広場等が整備され、一方、駅西口は土地区画整理事業が施行中で、住みよい住環境の創出をめざしている。

 桑名駅周辺と再開発事業の歴史は古く、特に駅東口では都市再開発法(昭和44年 法律第38号)施行後初の事業計画認可第一号により、駅前ビル(商業中心のパルビル、商業・業務・住宅混在の複合型のメイトビル)が昭和52(1977)年に整備され、あわせて駅前広場とデッキの3点セットによる一体的整備の先進地区として注目された。

その後、時代とともに建物の老朽化も進み、経済条件も大きく変化する中で、再開発ビルの建替時期を迎えたことから、2棟あるうちのパレビルについて、平成15年に改めて優良建築物等整備事業による再々開発事業で生まれ変わった。残ったメイトビル(桑栄メイト)もここ数年建替えの話題が尽きなかったが、桑名駅周辺整備が進んできたことも影響したのか7月末で閉鎖が決まったと公表された。ビル2Fには“昭和”が感じられる風情ある飲食店が連なるが、中でも売切れ次第で閉店する老舗の餃子店には閉鎖を聞きつけたお客で行列が絶えないようだ。

一方、駅西口は土地区画整理事業(平成13(2001)9月から令和7(2025)3月完了予定)が進みつつあり、特に最近は道路整備と戸建住宅の建築が目に見えて進んでいる。その工事の中、駅近くの小高い丘の斜面で樹木が伐採され、これまで隠れていた丘の上に建つ立派な洋館が現れた。

 建物は、帝国ホテルの設計者 フランク・ロイド・ライトの弟子が手掛けたとされる大正時代の洋館で、地元ではベーグルが楽しめるおしゃれなカフェとして有名。

駅西口から少し歩いた坂の途中に面して玄関口はあるが、その坂の手前からはこれまで樹木に遮られその姿をみることはできなかった。それが事業のおかげでレンガ風な色彩の外壁やさりげなく突き出た煙突屋根の外観をみることができる。事業による駅周辺の大々的な変化の中では小さなことだが、貴重な建築物が残る風景は、街の新しい魅力となる。

駅を起点に東西の街づくりが加速し始めた桑名市。東西それぞれでの個性豊かな街づくりにより益々魅力向上がはかられることを期待したい。

 

(2020.6.15/村井亮治)

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