名古屋まちづくり情報

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かさでら道くさ社会実験

 笠寺エリアは、尾張四観音の一つである笠寺観音(笠覆寺・りゅうふくじ)の門前町であり旧東海道沿いを中心に笠寺観音商店街が形成されている。この笠寺エリアの一部、名鉄本笠寺駅前の100mの東西の通りで、2021年10月16日から11月14日の約1か月間、「道くさ」を創出する社会実験が毎日行われている。平日は帰宅途中のサラリーマンなどを狙って16時~20時、休日はファミリーを狙って11時~18時に開催時間を設定した。駅前の民地の軒先に、移動式の「軒先ワゴン」ではコーヒー・焼き菓子・アクセサリー・雑貨などのポップアップショップを日替わりで販売し、「BOOKワゴン」では名古屋市図書館「ここにもライブラリー事業」の協力による本の閲覧・限定貸出を行い、植栽ベンチも設置して立ち寄り場所にする。また、別の3カ所の民地の壁には「壁コミュニケーション」を設置し、毎日朝に絵しりとりやクイズ、アンケート形式でお題を神出鬼没に出題して「道くさ」を演出する。

 この間の経過を紹介すると、「軒先ワゴン」や「BOOKワゴン」は雨天時は中止で、毎日スマホで雨雲レーダーを見ながら設置するかどうかを決めるが、期間中は幸い天候に恵まれ、雨天中止は2,3日くらいしかなく、それ以外はほぼ毎日設置できている。これらのアイテムは毎日設置・撤去するのに対し、壁コミュニケーションは24時間設置しっぱなしで毎朝お題を変えるので、実験の始まる前の朝や実験後の夜間にもしりとりやクイズ、アンケートの書き込みが行われ、時間外も「道くさ」の場になっている。「軒先ワゴン」や「BOOKワゴン」の”店番”をしていた時には、立ち寄った人たちから「転勤で周辺に住んでいるが、まちづくり活動を知る機会になった」「平日も休日も社会実験が行われているのを見て、休日は子どもと一緒だから立ち寄ってみた」「区の図書館は遠いので、近くで図書館の本が閲覧・貸出してもらえるのはありがたい」などの声が聞けた。また、社会実験を開始して半月が過ぎた後に地元新聞でこの実験の記事が紹介されてから「実験の内容を初めて知って立ち寄った」という人もいた。
 一般的に商店街でのイベントや社会実験は1~3日限定の場合が多くその時だけ人が集まるというものが多いが、この社会実験は日常の演出を目的とすることから1カ月間を毎日実施することとし、大々的な告知はしていないので、口コミだったり毎日実施することで少しずつ周知されていっている。この成果が、今後の笠寺におけるまちづくりにどのように生かされるか、引き続き注目していきたい。 

民地に設置されたBOOKワゴン、軒先ワゴン、植栽ベンチ
民地に設置されたBOOKワゴン、軒先ワゴン、植栽ベンチ
壁コミュニケーションを使ってクイズを毎日出題
壁コミュニケーションを使ってクイズを毎日出題
この壁コミュニケーションでは、絵しりとりを毎日出題
この壁コミュニケーションでは、絵しりとりを毎日出題
この壁コミュニケーションでは、毎日お題を設定してアンケートを実施
この壁コミュニケーションでは、毎日お題を設定してアンケートを実施
(2021.11.12/浅野 健)

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