住まいまちづくりコラム

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猛暑日が連続する日本 求められるクールな都市づくり

【猛暑な日本】

 

猛暑が日本を襲う。名古屋は今日現在(2024.8.18)で25日間連続猛暑日となった。
これだけ暑いと、表現も「熱い」に変えなければならない。しかも気象庁が発表する気温は百葉箱の中にある温度計なので、私たちが実際に生活する空間はもっと「熱い」のである。あるデータによると気温32.6℃で、地面37.8℃、コンクリート面44.3℃、アスファルト面56.8℃、瓦面60.5℃という結果になっている。ヤカンや鍋に水を入れて、日なたに置くとすぐにお湯になる。晴れた日の体感温度は直射日光熱、照り返し熱や輻射熱、風量などで決まるのであろう。気温40℃ならより表面温度は高くなる。体温以上は当たり前、セミサウナ状態なのだ。
https://kanmegu.com/asphalt-temperature-summer-20210731/(2024.8.12閲覧)

【猛暑下での人々の動き】
これだけ「熱い」と足が短くてアスファルト面に近くなるハトは日なたでは目にしない。人も外を歩かない。大須で古着店を経営している人についての又聞きではあるが、猛暑日は商売にならず、避暑閉店しないと効率が悪いと言っているようだ。7月末に円頓寺で七夕まつりがあり、昼間から多くの人々で賑わっていた(写真①)。ここにアーケードがなかったら、これだけ人々が集まっていたか疑問である。一時期、商店街の老朽アーケードを取っ払い、青空を見せることが流行った時期があった。しかしアーケードがあったほうがイベントに際して、雨天に左右されないことは勿論のこと、猛暑になると日よけとして絶大なる効果を引き出す。地下街も一時避難としては有効である。

【クールな都市づくりと名古屋】
これからの都市計画は猛暑に対応できるクールな都市づくりが求められる。以前から、ヒートアイランド対策として2004年(2013年改訂)に同大綱が打ち出され、屋上緑化や壁面緑化などの都市緑化、公共交通利用の促進、水と緑のネットワークによる風の道の整備等々の施策が並べられている。
名古屋は特に暑いので、クール名古屋づくりは必須である。すでに「低炭素都市2050なごや戦略」(2009)や「第4次名古屋市環境基本計画」(2021)に公表されているが、地球温暖化対策(カーボンニュートラル)対策であり、猛暑対策として即効性のあるものとなっていない。そこでいくつかの対策を提示したい。
① 都市構造的にはすでに示されている風の道である。堀川・新堀川・中川運河の水面と側道の緑化を通じて、冷やしながら風を送り込み、都市熱を低下させることである。もともと都心の防火帯として新堀川(+久屋大通)、堀川の縦軸と若宮大通の横軸で都心6分割するものであった。よって堀川と新堀川(+久屋大通)は港から名古屋城までの風の道となる。中川運河は名古屋駅まで延びてくる。
② 都心には道路・公園などの公共空間が約200ha(うち道路は約175ha)あるので、広幅員道路や交通量が減少している道路空間の歩道拡幅を行い、2列の街路樹帯を整備し、歩道に影を落とすようにする。久屋大通の歩道はその好例である(写真②)。拡幅された歩道でのオープンカフェに対してはオーニングやシェードを認めていく。
③ 都心には公園が約22ha(100m道路の公園は除く)あるが、植栽の充実と影のある十分な休憩のための仮設空間が求められないか。常設屋根付き空間はオアシス21がある(写真③)。また久屋大通公園のエンゼル広場やエディオン久屋広場にも開閉式アーケード型屋根があればイベントが過ごしやすくなる。
④ すでに対策として打ち出されている屋上緑化広場である。新中日ビルは途中階に屋上広場を設け、壁面緑化や芝生広場を設けている(写真④)。先般公表された「金山駅周辺まちづくり計画」では古沢公園~新市民会館~アスナル金山エリア~連絡通路橋~南口駅前広場まで10年かけて整備される予定だが、新市民会館の屋上を広場化することで広場の連続化が可能となる。すでに海外では公共施設の屋上活用はいくつもあるが、サンフランシスコのバスターミナルの屋上に整備されたセールスフォースパークは、屋上感がほとんどない(写真⑤)。そのうえで③の影対応をすれば、名所になるだろう。
⑤ ビルのセットバック空間や公開空地に避暑空間(木陰とベンチ)やビル1階屋内に避暑ゾーン(冷房とベンチ)があれば、もてなしとしてベストである。最近の百貨店は高齢社会を意識してか、売場を削って、休憩できるゾーンを各階に配置するようになった。これは買物疲れのための休憩であるが、百貨店が公益施設して機能するならば、避暑休憩も受け入れていくことが望まれる。不特定の人々が出入りするための安全対策を講じたうえで敷地・施設を開放することは企業の協力が前提となる。

【クール名古屋】
猛暑対策は公民連携で実施していかざるを得ない。都心は戦災復興事業により公共空間が増加し、その資産が猛暑対策にも活用できるのだ。これらの積み重ねが「クール名古屋」、すなわち“涼しくてかっこいい名古屋”として注目されるようになるだろう。

 

1.円頓寺七夕まつりとアーケード下
1.円頓寺七夕まつりとアーケード下
2.久屋大通歩道の日向と日蔭
2.久屋大通歩道の日向と日蔭
3.オアシス21と屋根となる水盤
3.オアシス21と屋根となる水盤
4.新中日ビル 屋上広場の芝生と壁面緑化
4.新中日ビル 屋上広場の芝生と壁面緑化
5.サンフランシスコ セールスフォースパーク 全体 https://denshadex.com/sf-salesforce-transit-center/20865/ (2024.8.13閲覧)
5.サンフランシスコ セールスフォースパーク 全体 https://denshadex.com/sf-salesforce-transit-center/20865/ (2024.8.13閲覧)
(2024.8.20/井澤知旦)

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