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本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた/礒井純充

学芸出版社/2015年1月1日発行

 近年、図書館に関する調査や再整備の計画作成に携わる機会に恵まれ、仕事を通じて図書館など本のある空間と向き合うようになってきた。図書館の役割は、図書の貸出、調査研究、子ども向けの読み聞かせ、視覚障害者のための点字や録音サービスなどの事業を通じて市民が本とふれあう機会を提供することにある。さらに深堀していくと移動図書館、自治体内の中央館と分館とのネットワーク、学校の図書室の支援なども図書館の事業に含まれる。加えて、TSUTAYA図書館に代表されるような運営の民間委託や本屋と図書館の連携などの事例や、民間主体で「図書館」「図書室」「ライブラリー」と名の付く場も全国各地に出現してきている。
 本書では、どのような経緯で「まちライブラリー」が誕生し、筆者がライブラリーの提唱者として各地に広げ、似たような活動がカフェ、お寺、商店街、病院、アウトドアなど国内外で展開されてきていることを紹介している。図書館といえば、本とふれあうことを目的に利用する、本好きの人が集まるというイメージだが、各地で展開される「まちライブラリー」の多くが本を介して人と人がつながり、交流促進やコミュニティ形成の手段として本のある空間が作られていることがわかる。まちで交流を生み出すヒントがわかる一冊である。
(2021.9.7/浅野健)

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