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ルポ 地域再生 なぜヨーロッパのまちは元気なのか?/志子田徹

イースト・プレス/2018年2月10日発行

 美食世界一のまちサン・セバスチャン(スペイン)、欧州で最も牧歌的に暮らせる村キャンティ(イタリア)、欧州でもっとも環境に優しい都市ベクショー(スウェーデン)、発電を地熱と水力だけでまかなう再生エネルギー100%の国アイスランド、炭鉱跡地を世界遺産にしたノール・バ・ド・カレ(フランス)などあまりなじみのない欧州の都市の地域再生の取り組みを多数のインタビューを交えて紹介。食、観光、エネルギー、歴史・文化など日本におけるり組みにおいても重要となる視点がもりだくさんだ。日本における先進的取り組みもとりあげられている。
 新聞記者による著作だけあって非常に読みやすく理解しやすい。各地の先駆者からこれだけの話を聞くことができたのはうらやましくもある。
 安倍政権が「攻めの農業」を打ち出し、そのモデルとしたオランダの農業についても触れられているが、その章のタイトルは「視察では見えないことがある」。オランダのハイテク農業が注目されているが、その一方でグローバル化に抗して有機農業やソーシャル・ファームのような地道な取り組みも広がっていることを紹介している。まちは、人が変えるというキーワードも。欧州のまちがなぜ元気なのかという問いかけが、日本を変える重要な視点といえるだろう。
 イタリアのアルベルゴ・ディフーゾ(分散したホテル)やアイスランドの露天風呂ブルーラグーンなど、また訪問したいと思うところが増えてしまった。
(2019.1.15/石田富男)

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