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老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する/野澤千絵

講談社/2018年12月19日発行

 空き家研究の第一人者東洋大野澤教授による「老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路」に続く第2弾。
 前著で人口減少社会なのに住宅過剰社会という不思議な国日本に対する警鐘を示した著者がその対応として住まいの終活を提案。具体的事例にもとづき、体系的にわかりやすくとりまとめられており、理解しやすい。
 本書では「問題先送り住宅」や「相続放棄からの逃げ遅れ」というキーワードも提示されている。価値のない不動産を相続したくないということから相続放棄をする人が増えており、代襲相続によって知らない空き家の所有者になってしまう可能性もある。分譲マンションの空室についても触れられているが、現在の戸建ての空き家問題よりもさらに深刻な事態が生じることが目にみえている。

 前著を書くきっかけが、テレビのニュースをみていた自分のこどもの「これ以上、自分たちの世代にまで迷惑をかけるようなことは、止めてほしいよな」というつぶやきだったという点は、日ごろ痛感している点でもある。現状を変えるためにも多くの人が空き家問題に関心を持ち、自分の問題としてとらえてほしいと思う。本書はそのきっかけになる良書だといえよう。
(2019.1.11/石田富男)

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