特集 名古屋の都心考

戦災復興の資産 若宮大通にもっと光を!

井沢 知旦

 都市活力を維持し、増進していくためには、今日の国家も自治体も財政難の中では、既存ストックを有効に活用していくことが大きな課題となる。その代表例が戦災復興事業によって生み出された久屋大通(1.75km)と若宮大通(3.80km)の百メートル道路であろう。

 ところで、名古屋市の都心構造は東西の広小路通と錦通を都心軸として、名駅から栄周辺までのエリアに商業・業務機能が集積している。これらの機能はいわば二十世紀を牽引してきた機能である。最近ではナディアパーク、パルコと大須地区との連携によって「栄南」と呼ばれるエリアが出現している。さらに大津通にはブランドショップの立地が盛んになるなど、前述の都心軸が南に拡張してきている。

久屋大通と若宮大通の対比

 さて、久屋大通には百貨店や専門店が並び、テレビ塔や戦災復興記念モニュメントがシンボル性を発揮し、イベント広場や緑地空間、さらには広い歩道を活用したオープンカフェの実験など、「先人の遺産」を有効に活用して、にぎわいを創出していると言えよう。
 今、若宮大通の西端では「ささしまライブ24」と、東端近くでは都市公団と民間企業による千種二丁目地区(サッポロビール工場跡開発)の再開発事業の二大プロジェクトが進められている。さらに、若宮大通沿いには科学館、美術館、ランの館、吹上ホールなどの公共施設、大須、パルコ、ナディアパークなどの商業核、若宮八幡や政秀寺などの神社仏閣、映画館やボーリング場、吉本栄三丁目劇場などの娯楽施設、名大や名工大などの大学が立地している。しかし、延長距離が長く、上部を高速道路が通り、道路・河川などで分断されているせいか、それらの存在感が薄い。若宮大通から名駅へ行く途中には出雲殿があり、若宮大通の東突き当たりには愛昇殿がある。「ゆりかご」から「墓場」ならず、「結婚式」から「葬式」までワンセット揃ったエリアでもある。明確なコンセプトのもとで、若宮大通を再編集すれば、大きなパワーを発揮するに違いない。

若宮大通を二十一世紀の都心軸に

 二十一世紀の都市を牽引するキーワードは何であろうか。交流、文化、教育、娯楽であり、環境であろうか。そのように考えれば、若宮大通こそそれらの要素が一杯詰まっている。
娯楽や教育により創造性を刺激する要素、新しい都心居住スタイルを提供する要素、国際交流や観光を促進する要素を付加しよう。そして人々の移動を徒歩と自動車の中間的領域を取り持つ二十一世紀の市電(LRT)を若宮大通に走らせ、環境への負荷を低減しよう。名古屋都市高速道路の吹上インターや白川インターを活用すれば、東名・名神高速、東名阪自動車道、将来的には第二東名・名神、知多半島道路から中部国際空港へと、東西南北どこへでも行け、またどこからでも来ることができる。交流のインフラがここにある。
この「先人の遺産」若宮大通を活用し、ポテンシャルを引き出す明確なコンセプトのもとで、二十一世紀の都心軸を形成していきたいものである。


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