特集 名古屋の都心考

名古屋都心に期待されるパワー

井澤知旦

対照的な名駅と栄

 昨年の11月末から、名駅のシンボルとなったセントラルタワーズでイルミネーションイベントである「タワーズライツ」が始まった。神戸の「ルミナリエ」とは異なる迫力ある場が演出され、今日の名駅のパワーを象徴している。もとより名駅地区は、JR(新幹線・東海道本線、中央線、関西線)、名鉄、近鉄、地下鉄など鉄道の結節点であり、名古屋圏内外を結ぶ玄関エリアである。それゆえ、広域性・ネットワーク性を求める諸機能、例えば情報・教育産業や外資系企業、商社・卸売業、ホテルなどが立地している。それらは駅東を中心にコンパクトに集積し、立体的な都市空間を構成している。今後再開発される豊田・毎日ビルや牛島地区はそれに拍車をかけることになろう。しかし、公園などのうるおいをもたらす公共空間が少ないため、機能性が強く出て、潤いの少ない都心イメージである。
 もう一方の都心コアを形成している栄地区では、栄公園の整備が進められ、久屋大通の公園と相まって、うるおい溢れた都心空間を形成している。ここは、地下鉄(東山線・名城線・桜通線)と名鉄瀬戸線の結節点であり、本社機能を中心とした業務機能の集積が極めて高く、その集積を背景とした商業・飲食・娯楽・文化等の諸施設の集積が見られる。名古屋圏内を対象にした機能が中心であり、名駅が立体的であるなら、栄は対照的に平面的な都心空間を形成している。

これからの都心に求められるもの

 名古屋都心はその都市、その都市圏のパワーの源泉であり、不特定の人々が集散する交流の場、憩いの場である。
 名古屋圏で充実すべき都心機能は、一つに国際機能の強化であろう。世界との結びつきを強めるために、国際ビジネスや国際交流の拠点が必要であろう。二つに人的資源のレベルアップを図るリカレント教育であり、さらに娯楽も加味したエデュテーメント機能の導入である。最近、都心部にサテライト教室を設置する大学が増加していているが、大学の経営改善と社会人のスキルアップ要望との一致の結果、交通至便な都心部でそれが展開されてきている。第三にファッションや情報などのクリエイタービジネスの苗床となることである。多様な人々が出会うからこそ、創造力が生まれ、それを育むシステムを組み入れることであろう。 
これからの高齢社会を念頭に置くなら、バリアフリーで館的な歩行環境を有する都心空間の整備が求められる。乗換え環境(例えばトランジットモール)の整備や中距離輸送手段(例えば市電)の導入も必要となろう。そして、もっと潤いのある屋外空間、アトリウムなどの屋内空間も一層求められるであろう。 

名古屋都心と中核都心

 名古屋の都心は名古屋圏全体の都心でもある。一極が栄えて、多極が滅びる構図は都市圏にとって得策ではない。これまで多極はミニ名古屋都心を目指してきたがゆえに、施設の撤退が行なわれてきた。一極が多極にサービスを提供しつつ、多極は地域の資源を活用した特色ある都心づくりが求められているのではないだろうか。

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