スペーシアレポート

インターネットが広げる住情報の世界

石田富男

 「あいち☆すまい・まちづくり情報広場」というホームページが1998年10月27日に開設され、一年間で9,600を超えるアクセス数を記録した。このホームページは愛知県住宅マスタープランの住まいる重点施策の一つである「住まいに関する住情報提供体制の整備」の柱として位置づけることができるが、他都道府県では見られないユニークな取り組みといえるのではないだろうか。
 第一に、ハードの住情報センターを設置するということよりも、情報の中味に注目し、インターネットのリンクという方法により、様々な情報を提供しようとしている点である。愛知県でも、当初は横浜市や神戸市のように住情報センターの構想もあったが、財政上の問題もあり、立ち消えてしまった。しかし、そのことが「まずは中味」という方向に変わったのであるからおもしろい。
 第二に、リンク更新などの作業は趣旨に賛同する運営スタッフのボランティアによって行われている点である。14人の運営スタッフが週に2回、持ち回りで、リンク登録の依頼に応じるとともに自分の担当するページについてのメンテナンスを行っている。当初は、慣れない作業に手間取っていた運営スタッフも、今では自宅や職場でFTP作業を行う者もいて充実が図られつつある。私も途中からであるが、その一員として加わり、まちづくりのページ等を担当している。
 第三に、市民団体などとの連携により、提供する情報の充実を図っている点である。情報広場はリンク集であり、情報そのものを提供しているわけではない。伝えたい情報があってもそれがインターネット上で公開されていない限り、情報提供は難しい。そこで、情報発信の主体となりうる団体に働きかけ、そのホームページ立ち上げを支援するとともに、情報広場のリンク作業等にも協力を得ている。この間に、「人にやさしい街づくりネットワーク連絡会」「中部分譲共有住宅管理組合協議会」「愛知県建設団体協議会」「愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会」のホームページができ、愛知県建築士事務所協会及びJIA愛知からは情報広場の設計のページへの協力体制ができている。
 インターネットはまだまだ一般的に利用されているとはいえず、情報提供という点では不十分である。しかし、この取り組みが愛知県における住宅に関わる様々な人々を結びつける役割を果たしていることは重要だろう。インターネットは情報発信や情報収集のみならず、ネットワーク形成という面でも大きな可能性を秘めたツールだ。愛知県の住まい・まちづくりがこの場を一つのきっかけとして大きく飛躍することを期待したい。

目次に戻る