視察レポート

Report

丹波篠山の古民家再生

社員旅行で丹波篠山を訪問し、古民家再生による篠山城下町ホテルNIPPONIAに宿泊した。

丹波篠山の古民家再生については、2013年に愛知登文会の保存活用講座にNPO法人町なみ屋なみ研究所(町屋研)の酒井理事長をお招き話しを伺い、その精力的な取り組みに感心した。ボランティアが古民家再生に関わり、2004年からの9年間で8件の再生を行うほか、7件の再生にも協力したという。

「丹波篠山 古民家を“めぐる”見聞帖」(2014.9発行)の案内マップを片手にまちを散策したが、それらは今も人気があり、他にも多くの古民家再生によるカフェや雑感店などができていた。町屋研のホームページが更新されていないので、古民家再生がどのようになっているのかと思っていたが、日本遺産のまちともなり、観光客も増えたことによって、NPOが関わらなくても古民家再生が進む流れができてきたのかとも思う。

そんな丹波篠山に城下町全体を「ひとつのホテル」にみたて、空き家改修によってNIPPONIAが誕生したのが201510月。4棟からスタートし、ホームページで5棟に増えていることは知っていたが、この8月に新しく2棟が加わり、7棟になっていた。

我々が宿泊したのはその中心となるONAE棟。篠山市の景観重要建造物第1号となっている魅力的な建物だ。旅館業法では、宿泊施設それぞれに対し、各々フロントを設置、管理することを義務付けられていたが、このホテル事業では関西圏国家戦略特区の特区事業に認定されることで、7棟のフロント機能をここですべて担っている。意外だったのは、7棟が結構離れた場所にあったこと。伝統的建造物群保存地区が2箇所あり、面的に観光資源が広がっていることがこれだけ離れたところにあっても成立する要因だろうか。

400年の歴史の中に溶けこむように泊まる」をキャッチコピーとしており、外観をみただけではホテルとは気がつかない。テレビはなく、温泉などの楽しみもない。宿泊需要がどれだけあるのかと思う人も多いかもしれないが、数が増えているということは、このようなところに宿泊したいと思う層が確実にいるということだろう。少なくとも私はそうだ。ほかのまちでもこんな建物に泊まってみたいと思う。

7棟のホテルのフロント・レストランとしての機能を有するONAE棟。5室ある。
7棟のホテルのフロント・レストランとしての機能を有するONAE棟。5室ある。
ONAE棟104号室。ホテルは客室の質によって料金が異なっている。この部屋は一番安いランク。
ONAE棟104号室。ホテルは客室の質によって料金が異なっている。この部屋は一番安いランク。
ONAE棟の近くにあるSAWASIRO棟。
ONAE棟の近くにあるSAWASIRO棟。
新しくできた堀の近くにあるNOKON棟。一戸建の住宅で2室ある。NIPPNIAの看板はなく、最初はよくわからなかったが、ホテルにあった間取り図と見比べることでわかった。
新しくできた堀の近くにあるNOKON棟。一戸建の住宅で2室ある。NIPPNIAの看板はなく、最初はよくわからなかったが、ホテルにあった間取り図と見比べることでわかった。
宿泊したホテルの近所にある西町ブリキ玩具製作所。昔の玩具やその製造機械が見学できるということで覗いてみたら、そこは町屋研が運営している場所だった。
宿泊したホテルの近所にある西町ブリキ玩具製作所。昔の玩具やその製造機械が見学できるということで覗いてみたら、そこは町屋研が運営している場所だった。
(2018.9.18/石田富男)

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