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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)  □[第414号]2016/5/23□  □配信数 733□


スペーシア・メールマガジンの第414号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆まちのトピック◆
 ・愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会 総会・記念講演会
  「公共施設マネジメントから考える郊外都市の将来像」
 ◆図書紹介◆
 ・「家康、江戸を建てる」/門井慶喜著
 ・「地方は活性化するか否か 〜マンガでわかる地方のこれから〜」/こばやし たけし著
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会 総会・記念講演会○
 「公共施設マネジメントから考える郊外都市の将来像」

日時:平成28年5月31日(火) 記念講演 15時00分〜17時00分
場所:名古屋都市センター 11階大研修室(定員100名)
   名古屋市中区金山町1丁目1番1号 金山南ビル内
講師:藤村龍至 先生 建築家/東京藝術大学准教授
応募締切:5月27日(金)
宛先:ご芳名、ご所属、電話番号、E-mailをご記入の上、
   愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会事務局
   ランドブレイン株式会社 担当:松波まで
   Eメール:machi@ai-machicon2014.sakura.ne.jp 
   FAX:052−971−7254 

主催 愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会
共催 公益財団法人名古屋まちづくり公社 名古屋都市センター
後援 愛知県 名古屋市

〜スペーシア・浅野健〜

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「家康、江戸を建てる」/門井慶喜著○
 祥伝社/2016.2.20発行

 最近天守にまつわる話題が世間をにぎわしている。名古屋城天守を木造に建替える
事業や熊本大地震で天守の屋根瓦や石垣が崩壊したことがそれである。もちろん天守閣は
都市の象徴だけに注目度は高いが、天守だけあっても都市は形成できない。そこでの
暮らしを想定すると、食糧供給も、飲料水供給も、通貨流通もなくてはならず、都市基盤や
制度基盤を形成していかなくてはならない。
 ここで紹介する「家康、江戸を建てる」は天守建設の話だけでなく、それら都市および
制度の基盤について、江戸時代においてどのように整備していったのかを、小説形式で
表現している。当時の技術やそれを差配した人物や事業の結果については史実に基づいて
いるだろうが、かれらの思考方法や意図、悩み・葛藤は想像力を駆使しながら、創作物で
ある。この事業実現の経過は、はらはら、どきどきもので、ついつい当時の時空に引きずり
込まれてしまうのは作家の力量であろう。
 ここで扱われる話題は5つある。第一は「流れを変える」であり、河川付け替え工事
(利根川・渡良瀬川の合流工事)で、江戸を洪水から守り、肥沃な農地を拡大することで
ある。27年以上の歳月を費やし、完成させ、さらにその後赤瀬川の付け替えを行い、
通水させたのである。伊奈忠次(一代)・熊蔵・忠治(二代兄弟)・半左エ門(三代)の
取り組みである。ちなみに伊奈忠次は木曽川の御囲い堤も整備している。第二は「金貨を
延べる」であり、天下統一は貨幣の統一でもあり、家康は慶長小判でそれを成し遂げた。
そこには地名表示がない。貨幣に書かれた地名は流通できる範囲を示すものであるが、
それが無いということは全国に通用するということである。秀吉の時代は後藤家が
鋳造権を握っていたが、それを関ケ原合戦ののちに、家康の命を受けた主人公が獲得する。
その過程は同じようにハラハラ・ドキドキである。第三は「飲み水を引く」であり、武蔵野の
湧水を江戸まで送り込み、何度かの拡張工事を経て江戸百万人の飲料水を供給する
水道事業である。
 第四は「石垣を積む」であり、天守等を建設する基礎工事である。土木工事を普請と
いい、建築工事を作事というが、ここは前者である。石を積むには石の性質を読み切って、
いい石を切り出すこととその石を積み上げることの両者が不可欠である。ここではそれぞれの
名工が張り合うが、最後には力量を認め合って、江戸城の石垣を積み上げていく。第五が
「天守を起こす」であり、天守の作事である。ここでは軍事拠点の天守であれば外壁が
黒で塗られるのが一般的であるが、江戸城は白漆喰が塗られている。それはなぜかを
作家の想像力で展開しているのである。理由は「未来」と「過去」を白で表現している。
何を言っているのか? ぜひ読んでいただきたい!!なお、江戸城天守は明暦の振袖大火の
あと復興されなかった。実用性がないので当時では不要という判断だったようだ。
 江戸の荒涼たる大地をどのように切り拓いて、百万人都市にふさわしい基盤を創って
いったのか。目利きの職人たち(今でいう先端技術者)がどのように事業にかかわって
いったのか。史実の基づく小説といいながら、史実のごとく読んでしまう。そしてその世界に
ひきずり込んでいく。「江戸を建てる」ことの偉大さを改めて考えさせる労作である。
(井澤知旦)

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○「地方は活性化するか否か 〜マンガでわかる地方のこれから〜」/こばやし たけし著○
 学研プラス/2015年11月3日発行

 本著は、2013年12月からWEB上に掲載された4コママンガを書籍化したもので、日本の
どこにでもありそうな平均的な架空の地方都市を舞台に、住んでいるまちの現状や課題を
知った女子高生たちが、地域活性化に取り組み始めるという物語である。
 著者は、ここ数年、新聞やテレビ、ネット等で頻繁に出てくる言葉「地域活性化」とは何だろうと
疑問を持ったことをきっかけにこの4コママンガを描き始めたそうである。「地域活性化」という
重いテーマでも気楽に読めるようにキャラクター設定された女子高生たちの会話のやりとりを
読むだけで、地方都市が抱える課題が自然に理解できるだけでなく、女子高生や女性教諭だから
許されるような辛辣な表現などがTwitterなどでも話題となり、昨冬に書籍化に至ったようである。
 『カネがない「地方」は「カネでにぎわいを作る」んじゃなくて… 「にぎわいでカネを作る」ように
しないといけないんだよ わかるか?ふたりとも この違いが』、緊急雇用創出対策とは
『…平たく言うと… つまり…… 「国が金出してやるから地方行政で金回して雇用をさっさと
なんとかしろや」ってこと……かな?』など、一見すると強い表現ではあるが、地方都市が
抱える課題の核心をついているように思う。
 4コママンガから一般的なマンガ形式に再構成し、コラムも付加した上で書籍化されており、
非常に丁寧でかつ情報量も適度な「地域活性化」の入門書に仕上がっており、高校の授業
テキストに用いられたり、国会審議で取り上げられたりもしている。著者が望む「自分の
住んでいる地域に対していろいろと考えるきっかけ」となるよう、是非多くの人にお読み
いただきたい。なお、Web上では、続編の4コママンガの掲載も始まっているので、そちらも
ご覧いただければと思う。
(山崎 崇)

BLOG「地方は活性化するか否か」(略称:ちかすい)
http://minorikou.blog.jp/

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・「まちのトピック」で紹介しましたが、愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会では、
 毎年この時期に総会・記念講演会を開催しています。今回のテーマは「公共施設
 マネジメントから考える郊外都市の将来像」。ぜひ、ご参加ください。

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 を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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