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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)   □[第387号]2015/5/13□  □配信数 734□


スペーシア・メールマガジンの第387号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆住まい・まちづくりコラム◆
 ・愛知の山車まつり
 ◆図書紹介◆
 ・「生まれ変わる歴史的建造物 都市再生の中で価値ある建造物を継承する手法」野村和宣著
  平成26年7月25日発行
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○愛知の山車まつり○

 ユネスコの無形文化遺産に提案されている「山・鉾・屋台行事」の33件には愛知県内の
祭りが5件含まれている。これら以外にも愛知県内には山車まつりが多い。ユネスコ候補に
なっているものとそうでないものは何か違うのだろうか、そんな思いもあって県内各地で
行われている山車祭りにでかけてみた。
 ユネスコ候補は国指定重要無形民俗文化財であり、それが大きな違いといえるが、
いくつかみてみると祭りごとに個性があり興味深い。
 蟹江町の須成祭。津島天王祭と同じ車楽船行事でユネスコ候補だが、船は1艘のみ。
津島天王祭のような雄大な風景を期待していると肩透かしをくったように感じてしまうが、
多彩な行事が3カ月にわたって続くと聞くと伝統の重みというものを感じる。必ずしも雄大で
著名なものだけがユネスコ候補になっているというわけではないのだ。
 山車と巻藁船の競演が見られるのが大野祭り(常滑市)。大野橋の上に3輌の山車が
集まり、そこに巻藁船がやってきて提灯回しをはじめる。広くはない川なので空間の
広がりには欠けるが、興味深い組み合わせだ。
 からくり人形が披露される祭りが多いが、神明宮大祭(岡崎市)では山車の前に舞台が
造れるようになっており、まちなか巡行の途中でこども達が舞を披露する。CDでの音楽や
マイクが必要となり、発電機を山車に載せている。提灯のあかりも電気だ。時代とともに
やりやすい方向に変わってきたのだろう。車輪をタイヤに変えていた山車もあった。伝統
という点からみると違和感があるが、住民の負担を軽減することで祭りが継続されるので
あれば、それはそれでよいことかもしれない。
 そういう意味で若者の弾けっぷりが半端ではなかった神明社・常石神社例祭(常滑市)は
祭りの新しい姿をみた気がした。女性や派手な髪形の若者や目立つ。みんな次の日は
声がでないだろう。1年に1回、若者のエネルギーを爆発させる。そんな場があるとまちの
みんな元気になるのではないかと思うのだが、まだ確かめることはできていない。祭りが
まちにどんな影響を与えるかということにも注目していきたい。
(石田富男)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Topic/column/aichi_dashi/index.html

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「生まれ変わる歴史的建造物 都市再生の中で価値ある建造物を継承する手法」○
 野村和宣著/平成26年7月25日発行

 昨年秋に、名古屋市役所本庁舎と愛知県庁本庁舎がそろって重要文化財に指定された。
西洋的な様式と城郭天守の意匠が融合され、重厚感のある黄褐色のタイル張が印象的で、
ともに昭和初期に建てられている。この時代の近代建築の多くは質の良い材料が用いられ、
職人技も見事であり、文化財指定等によって建物自体の保存や価値の再認識が図られている。
 本書は、名古屋市役所本庁舎や愛知県庁本庁舎と同時期に建てられた比較的大規模な
歴史的建造物を事例に取り上げ、都市再生の中で歴史的建造物を残すための手法が
書かれている。著者が大手設計事務所に勤める設計者であることから、設計者の役割や
対応について書かれているが、設計者がどういった点に気を使い、設計という立場から
建物を継承しているのかがわかりとても興味深い。歴史的建造物の所有者や保存・継承に
取り組む事業者にとっても参考になる1冊だと思う。
 本書の中で著者は、歴史的建造物の「歴史継承」を行う行為は、凍結保存により物質的に
オリジナルを保全しない限り、歴史を継承することを意図した「創造」という行為だと述べて
いる。歴史的建造物ごとに抱える課題も、活用用途も異なる。それぞれで最適解を導き
出さなければならない。例えば、国登録有形文化財は50年が経過した建物が対象となる。
戦後の建物が文化財や歴史的建造物として捉えられる中で、継承の方法も今後ますます
多様化していくものと思われる。オリジナルを保全し継承していくこととあわせて、物質的な
保存や復元以外の、例えば所有者や利用者が使いやすい空間や維持管理し易い空間の
創造など、長く継承されていく術を考えていく必要があるだろう。
(喜田祥子) 

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・昨日は今年初めて本州に接近した台風の影響で、風雨が強まってきた夕方に移動して
 いました。5月で既に6号と、今年の台風の発生数は例年より多くなるか、少し気がかりです。(T.A)

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