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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)  □[第371号]2014/10/3□  □配信数 738□

スペーシア・メールマガジンの第371号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆名古屋まちづくり情報◆
 ・1300年の歴史がある長良川鵜飼/岐阜市
 ◆図書紹介◆
 ・年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学
  エンリコ・モレッティ著/株式会社プレ ジデント社/2014年4月発行
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○1300年の歴史がある長良川鵜飼/岐阜市○

 先日、愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会の若手部会(通称:愛知
まちコンU-34)で岐阜市の長良川鵜飼の見学会を行った。長良川鵜飼は、史料から
少なくとも西暦702年以上前から行われていた伝統的な漁法であることがわかって
おり、毎年5月中旬から10月中旬の間実施され岐阜の夏の風物詩となっている。
見学会の参加者のほとんどが鵜飼初体験で、私自信もはじめてであったため、
この機会に長良川鵜飼について調べてみた。
 これまで長良川鵜飼が守られてきた経緯としては、時の権力者の力が大きい
とされており、織田信長が「鵜匠」という地位を与え、徳川家康はたびたび岐阜を
訪れて鵜飼を見物し、鮎鮨を食べ非常に気に入ったという話がある。その後、
鵜匠は幕府直轄となり、鮎は将軍家へ献上されたという。明治維新後は徐々に
鵜匠の数が減り、明治23年からは宮内庁に属し、皇室御用の御料鵜匠として現在まで
受け継がれている。現在、鵜飼は全国13カ所で行われているが、宮内庁に属する
御料鵜匠は長良川鵜飼のみ(岐阜市に6名、関市に3名)で、御料鵜匠は世襲制で
代々長男が継ぐのだそう。後継者が途切れないものかとも思うが、鵜飼観覧船の
船頭さんのお話では、今のところ岐阜市の御料鵜匠6名は大丈夫とのお話だった。
現在も御料鵜飼が年8回行われており、そのうちの2回は駐日外国大使等を
招いている。
  鵜飼の見物は観覧船から観るが、岐阜長良川鵜飼の観覧船は全部で45隻あり、
見学した当日は金曜日であったせいか38隻がでていた。鵜飼が開始される直前には
鵜飼始まりの相図となる4発の花火が打ち上げられ、長良川の両岸にある旅館の
看板ネオンも一斉に消灯される。暗闇の中に浮かぶ松明が非常に幻想的だった。
通常は「狩り下り」といって鵜舟と一緒に川を下りながら鵜飼を観覧することが
できるが、見学日は前日の雨の影響で川の水位が高かったため、停泊した観覧船から
鵜飼の様子を観覧する「付け見せ」に変わってしまったのは少し残念であった。
クライマックスは、6隻の鵜舟が横一列に並び、浅瀬に鮎を追い込む「総がらみ」と
呼ばれる漁法で、間近で見る6隻の横隊は非常に迫力が感じられた。別の観覧船には
長良川温泉の宿泊客が乗っており、浴衣で観覧する鵜飼もまた風情が感じられた。
次回はぜひ長良川温泉に宿泊して鵜飼を見学してみたい。 
(喜田祥子)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2014/gifuukai/index.html

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学○ 
 エンリコ・モレッティ著/株式会社プレジ デント社/2014年4月発行

 この名古屋を永住の地としてつい最近選んだ私にとって、この本のタイトルは
大いに引っかかった。名古屋を選んだことは果たしてどうなのか。そんな疑問から
手に取った本である。
 この本で主張していることは、難しくない。地域にとって、かつて経済の中心
だった製造業に頼っていては衰退する一方であり、繁栄するには如何にITをはじめ
とするイノベーション産業を成長させるかにかかっているということだ。なぜ、
イノベーション産業かというとその集積効果が圧倒的に高いからだ。ある場所に
ハイテク企業が立地すると、それを目指して高度な人材が集まる。さらに関連する
サービス業も集まる。高度な人と企業が集まることで、知識の伝播が生まれ、
さらなるイノベーションを創出し、次なるハイテク産業を呼び寄せ、また人材が
集まり、・・・、とその好循環で地域の競争力はますます高まる。その結果、
そこに暮らす人々の収入も増える、ということである。逆に言うと、イノベーションを
生み出せない、従来の製造業に固執する地域はどんどん衰退し、収入は上がらない
ということである。昨今のグローバル化がその傾向により一層拍車をかけ、格差を
広げている。
 ITが浸透したことで、どこで住み、どこで働いても同じだという議論があったが、
著者が言うところは「人は互いに顔を合わせてコラボレーションするとき、もっとも
創造性を発揮」するという。単純に言うと、人との出会いや交流を求める力が
地域の経済力や都市の魅力の根源であるということだ。楽天の三木谷社長は月に
1週間はシリコンバレーに住むという記事を読んだことがあるが、それもそこに
集まる人を求めてことだろう。技術がいかに進歩したとしても、モノを考え出すのは
人の頭、そして物事を動かすのは顔の見える人間同士の信頼関係だということだろう。
グローバル化が進む中で、逆に顔の見えるローカル化がより一層重要になってくる
時代なのだ。
 名古屋は、というか愛知はものづくりが盛んだ。この本を読むと将来が心配に
なってしまう。しかし人材が豊富な地域でもあると思う。力を合わせてイノベーションを
生み出せば、当事者だけでなく、この地域に住む人全体の収入が上がるのだ。
「住むところ」は自分たちで作るもの。力を合わせて頑張ろうではないか。
(櫻井高志)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・先日、地愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会の2014年9月交流会を
 中部地方整備局中部技術事務所のバリアフリー体験歩道で行いました。車いす
 体験とアイマスク・白杖による視覚障害者の疑似体験を行い、スロープの傾斜、
 緩やかに曲がって設置された誘導ブロックなど、図面上で数値を見るだけでは
 わからない現場の感覚を体験できます。一度は体験されることをおすすめします。
 (T.A)

→国土交通省 中部地方整備局中部技術事務所のホームページ 
 http://www.cbr.mlit.go.jp/chugi/

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  を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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