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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第361号]2014/5/12□ □配信数 739□

スペーシア・メールマガジンの第361号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
  ◆まちのトピック◆
  ・愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会 総会記念講演会
   リニア中央新幹線開業に向けたまちづくり〜名古屋のまちづくりに求められること〜  
  ◆住まい・まちづくりコラム◆
  ・徒然随筆 国土計画・都市計画の日独比較
   (Fプランによる建築許可と建築基準法による建築確認)
  ◆図書紹介◆
  ・「介護事業経営 成功の条件」/杢野 暉尚著
   幻冬舎/2012年9月発行
  ◆読者の声◆
  ・「名古屋まちなみデザインセレクション」(前号360号で紹介)の補足情報
  ◆スペーシアのこの頃◆

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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会 総会記念講演会○
  リニア中央新幹線開業に向けたまちづくり〜名古屋のまちづくりに求められること〜

 昨年9月、JR東海よりリニア中央新幹線のルートが公表され、「リニアモーターカー」の
実用化に向け本格的に動き出しました。また、名古屋市では2027年のリニア開業後の
まちを見据えた「名古屋駅周辺まちづくり構想」について、市民の意見を聞いたうえで
今秋の策定を目指しています。
  リニアの開業は、東京〜名古屋間が40分に短縮され、名古屋に大きなインパクトを
もたらすことが予測されます。13年後に迎えるリニア開業に向け、リニアの駅が整備される
名駅周辺に限らず、栄、そして名古屋全体としてどのようにまちづくりを進めるべきか、
名古屋のまちづくりに求められるは何か、開業に向け建設工事やまちづくりの検討など
様々な動きが出てくるであろう2014年に一緒に考えませんか?

■講師
『リニア中央新幹線開業に向けた名古屋のまちづくりに求められるもの』
  堀越 哲美 氏 (愛知産業大学 学長)
『「名古屋駅周辺まちづくり構想(案)」及び「栄地区グランドビジョン」について』
  新庄 徹 氏 (名古屋市住宅都市局都心開発部リニア関連・名駅周辺まちづくり推進室 室長)

■日時
2014年5月23日(金) 15:00〜16:45

■会場
名古屋都市センター 11階大研修室
(名古屋市中区金山町1−1−1 金山南ビル内)

■申込方法
氏名、所属、電話、FAXをご記名の上、FAXかEメールで協議会事務局へお送りください。
FAX:052−957−1260 Eメール:machi@ai-machicon2014.sakura.ne.jp
なお、定員(100名)になり次第締め切らせていただきますので、お早めにお申込みください。

■チラシ・参加申込書
以下よりダウンロードできます。
http://ai-machicon.com/katudou/2014/20140523/140523.pdf

主催:愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会
共催:公益財団法人 名古屋まちづくり公社 名古屋都市センター

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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○  徒然随筆 国土計画・都市計画の日独比較  ○
  (Fプランによる建築許可と建築基準法による建築確認)

 先回(メールマガジン315号)述べたように欧州のドイツには、土地利用計画(Fプラン;
Flachennutzungsplan)があり、この計画と市民(国民)権の主張により調和した街並みと
美しい田園風景が保持されています。
  ドイツでは、連邦国土整備法により国土全体の中で都市計画と農村計画の方針を示し、
各市町村が建設法典(Baugesetzbuch)を根拠法として土地利用計画(Fプラン)を定め、
建設許容地域と建設抑制地域に分けています。この建設許容地域の中に地区詳細計画
(Bプラン;Bebauungsplan)があり、既成市街地と併せて建設可能な地域としています。
その他は建設抑制地域として建設は不可能です。
  一方日本では明確な国土計画はなく、都市計画法により指定されているに過ぎません。
具体的には都市計画区域の線引き都市計画区域の市街化調整区域は建設が抑制
されますが、その他の区域は基本的に建設が可能です。
 
  更に主に異なっている建築行政について比較してみると、建設行為に関しては、
ドイツは許可制で日本は確認制となっており、筆者は日本の確認制度自体が法律上
実効力の無い制度と考えているので、日本では建造物が自由奔放に建てられていると
考えます。この証明に、欧州の建築家が「自国では自由にデザインできないので、
日本に来て自由にデザインした建造物を建てる」と言わしめています。相隣関係は、
ドイツでは許可申請時には隣地土地所有者の同意が必要であり、建設する建造物
概要が事前に公開公表されています。容量規制に関して、ドイツでは容積率の他に
建築容積指数という立体容量規制(m3数)があり、この建築容積指数と階数規制とで
周囲と不調和な建築を規制しています。用途地域は両国共にある制度ですが、
ドイツでは許可する建造物を規制し、日本では禁止する建造物を規制しており、
建設許可用途範囲がドイツでは限られています。
  土地利用に関して、ドイツでは土地利用計画が自治体に義務付けられており、
調和した国土計画と街並みが実現されています。一方日本で土地利用計画というと
都市計画法の用途地域規制しかないので、禁止されない建造物が自由に建設され、
調和に欠ける街並みになっていると考えます。また住民参加も、ドイツでは計画策定時に
実施されるので計画に反映され、なお且つ主導権と責任は行政が負いますが、日本の
住民参加は形式化しており、中味の薄い(行政の責任回避)ような気がします。
今後はこのような欧州の制度を見習い、議論して採り入れていくことが重要であると
考えています。
  (嘱託研究員・田中清之)
 
→ホームページに図表を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Topic/column/tsurezure/10kokudo/

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「介護事業経営 成功の条件」/杢野 暉尚著○
  幻冬舎/2012年9月発行

 「サンライフ」という名称を目にしたことはあるだろうか。最近では、名古屋市営地下鉄で
一編成の車内広告全てをスタッフ募集広告でジャックした社会福祉法人である。サンライフは、
名古屋市内に本部を置き、昭和63年に愛知県内で最初の施設を開設して以来、これまでに
愛知県内をはじめ岐阜県、長野県で大小合わせて120ヶ所以上の事業所を展開している
成長企業である。本書は、そのサンライフの理事長が今の介護事業の実態と今後の
提言等を記したものである。
  本書は、理事長が事業を始めた頃から、まもなく向かえる超高齢化社会でも介護事業で
安定経営できる方策は何か、早い段階から経験や先見性を基に日々研究し、独自の
介護事業のビジネスモデルを構築してきた経緯や、その計画を具体化するために、
国内外の施設を訪問し情報収集に努め、綿密なデータを基に研究を重ね効率的な
施設計画、スタッフ配置計画、介護方針等の運営計画をたて事業展開をしてきた取組み
などが記されている。
  今のサンライフの成功の裏には、そうした理事長の効率的な経営戦略によるところが
大きいが、その中で社会福祉法人の使命である要介護者への介護サービスと自立
支援策の充実、スタッフの労働環境の改善とやりがいの創出、さらには施設が立地する
地域社会への貢献にも目を向けた、総合的な事業戦略の成果であることが読み取れる。
  サンライフは、その前進がアーバンデザインを目的に古い建物の活用をテーマにした
研究機関で、当時から住まいやそこで暮らす高齢者の住まい方や意識の研究に携わり、
その結果、高齢者施設事業に取り組むに至った経緯が紹介されているが、そうした都市や
建築の分野で研究されてきたこともあり、現在のサンライフは、特養を中心とした滞在型施設、
クリニック、デイケア、高齢者向け賃貸住宅などの福祉系用途とともに、一般向(世帯用、
女性専用)賃貸住宅や飲食店を併設した多世代コミュニティが生まれる複合型施設を
展開している。さらにその立地は都心部、特に駅前に着目し展開している。施設の利便性や
周辺環境がいいと入所者家族も見舞に訪れやすく、スタッフ募集の際も多くの応募が
あり優秀な人材を確保しやすい。また、離職率低下につながると考えられている。
  著者は、今後も介護ビジネスを伸ばしていくためには、自らの施設を拠点とした地域の
まちおこしや少子化対策としての保育所整備、高齢者の雇用機会となる農業分野の
発展など、介護事業の枠組みを超えた様々な分野にも目を向けていくことの必要性を
唱えている。
  我々の都市計画、まちづくりの分野においても、まさに人口減少、少子高齢化社会への
対応が求められている今日、介護の実態を把握し介護という切り口でまちづくりの新たな
可能性を探るうえでも、非常に興味深い内容であった。
(村井亮治)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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○「名古屋まちなみデザインセレクション」(前号360号で紹介)の補足情報○
  
  前回360号のメールマガジンで紹介した、「第2回 お気に入りの風景・まちなみの募集
(名古屋まちなみデザインセレクション)」について補足情報をいただいたので、お知らせ
します。
  まちなみデザインセレクションでは、市民から「お気に入りの風景・まちなみ」を募集し、
その中から「まちなみデザイン20選」と「まちなみデザイン貢献賞」が選ばれます。このうち
「まちなみデザイン20選」は市民投票で決定され、「まちなみデザイン貢献賞」は以前の
「都市景観賞」にあたるもので有識者の意見を踏まえ決定されるそうです。
  募集期間は平成26年8月20日まで。詳しくは以下のHPをご覧ください。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/53-10-15-3-7-0-0-0-0-0.html

 なお、第1回の「まちなみデザイン20選」及び「まちなみデザイン貢献賞」は以下のHPで
ご覧いただけます。
http://www.city.nagoya.jp/kankou/category/358-5-0-0-0-0-0-0-0-0.html

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・まちのトピックで紹介しましたが、弊社が所属している愛知住まい・まちづくりコンサルタント
  協議会では、 5月23日(金)に「リニア中央新幹線開業後を見据えたまちづくり」をテーマに
  した記念講演会を予定しています。ぜひご参加ください。

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◎ホームページでは一方的な情報提供に終わってしまいますが、このメールマガジン
  を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
  ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
  載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
◎バックナンバーはホームページに公開しています。
   http://www.spacia.co.jp/mm/
◎今後の配信を希望されない場合は、このまま返信して下さい。
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
  〒460-0008 名古屋市中区栄5-1-32 久屋ワイエスビル8階
   TEL 052-242-3262 FAX 052-242-3261
   URL http://www.spacia.co.jp/
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