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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)  □[第281号]2011/04/11□    □配信数 772□


スペーシア・メールマガジンの第281号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
  ◆まちのトピック◆
  ・都市住宅学会中部支部講演会「超高齢社会の実相と高齢期の居住問題をどう解くか」
  ◆名古屋まちづくり情報◆
  ・赤須賀の密集市街地のまちづくり
  ◆視察レポート◆
  ・ユーカリが丘
  ◆読者の声◆
  ◆スペーシアのこの頃◆

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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○都市住宅学会中部支部講演会「超高齢社会の実相と高齢期の居住問題をどう解くか」○

  わが国は、すでに超高齢社会を迎えています。今後、高齢者数は一定したままで、
若い世代が減少していくことから、高齢者比率は増加し、特に、後期高齢者が増加する
という状況になります。これからの住宅と居住環境に求められる条件、福祉・生活サービス
の量と質、実現していくための施策について、最新の情報にも触れながら、お話しいただきます。
  都市住宅学会会員に限らず、多数の皆様のご参加をお待ちしております。

【日時】2010年4月23日(土) 15:00〜16:30
  (なお、都市住宅学会中部支部総会の後に講演会を行います)
   14:45〜 支部の住宅市場研究会の部会報告を行います。
   ここからは会員以外の方もご参加ください。

【場所】名城大学図書館本館視聴覚室(地下1階)天白キャンパス
      (地下鉄鶴舞線塩釜口下車)

【講師】園田眞理子氏(明治大学理工学部教授)
      「超高齢社会の実相と高齢期の居住問題をどう解くか」

【参加費】無料
【定員】100名
【参加申し込み】下記から申込書をダウンロードし、メールもしくはFAXにて送付ください
  http://www.uhs.gr.jp/chubu/kiroku/2011/110423/110423.pdf

〜スペーシア・石田〜

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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○ 赤須賀の密集市街地のまちづくり ○

 建築学会東海支部都市計画委員会恒例の春の交流会で桑名を訪れた。桑名のまち
づくりには委員長の浅野聡先生がずっと関われており、私もいくつか興味深い取組みに
関わらせてもらった。それらはこのメルマガでも紹介しているが、今回は以前から興味
深いまちとして注目している赤須賀のまちづくりが取りあげられたこともあり、そこでの
報告も含め紹介したい。

 赤須賀は重点密集市街地に位置づけられている漁村集落で、狭い路地に住宅が
密集しており、猫が跳び移れるほど軒が隣接していたことから「猫飛び丁」と名付け
られたという。桑名のまちづくりブック「まちづくり極意 くわな流」でも特徴あるまちとして
赤須賀を取り上げており、まち歩きでも人気のまちだ。
  地区面積8.1ha、住宅戸数721戸。住宅密度は89.0戸/ha。換算老朽住宅戸数が89.6%、
100u未満敷地割合が54.7%という典型的な密集市街地である。全国的傾向と同様、
人口減少、高齢化、空き家化が進行している中で、まちづくりとしての取組みが始まったのが
平成16年。国交省や三重県の取組みの中で懇談会が開催され、これらを母体として
平成18年4月に「赤須賀まちづくりの会」が発足。「老朽住宅」「避難路・避難場所」「住民啓発」の
3つの検討部会に分かれ検討が行われた。
  活動経緯をみると、耐震診断の啓蒙などかなり熱心に活動が行われた様子がわかる。
しかし、なかなか目に見える成果がでていないのが現状だったが、活動4年目の平成21年度に
「空家老朽住宅等除却補助事業」が創設。空家の除却が徐々に進み、「5年間の空地確保」
「災害等発生時の空地の使用」等をルールとして定め、地区の防災性向上に役立っている
という。

 まちを歩くとその道の狭さ、敷地の狭さが実感でき、建替えの困難さがわかるが、一方で
懐かしい風景には安らぎを感じる。新しい建物もできているが違和感は否めない。火事が
起これば広く延焼することが予想されるが、その危険性を知っているためなのか、火事は
ほとんど発生していないという。赤須賀のまちは何度も移転が行われているが、その歴史が
路地の形態としても残っており興味深い。全国的に路地の持つ魅力が再評価されているが、
赤須賀でも地域の個性を守ることの重要性が意識されている。格子や2階に手すりのある
町家の町並みを含め、まちの魅力として地域の人々が評価し継承されることが、防災まちづくりと
ともに進められることを期待したい。

 最後にこの春の交流会について。この取組みがはじまったのは20年前の岩倉。当時の
佐藤圭二委員長の発案という。私にとってはいろいろな興味深いまちづくりに触れるとともに、
様々な先生方と知り合うことのできる貴重な機会となっている。残念なのは参加者の年齢層が
だんだん上昇し、若手の参加が増えないこと。特にコンサルタントの若手にはもっと参加して
ほしいのだが…。この点も期待したい。
(石田富男)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2011/akasuka/

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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ ユーカリが丘(千葉県佐倉市) ○

 全国の住宅団地開発では、開発時に大量供給され、開発から数十年が経過すると急激に
高齢化が進み、その対応が問題となっている。これに対し、先日訪れたユーカリが丘は、
開発事業者である山万(株)が30年かけて徐々に開発してきており、持続可能なまちづくりの
モデルとして近年マスコミにも取り上げられるなど注目されている。
  ユーカリが丘は千葉県佐倉市にあり、開発予定地を含む総開発面積が約245ha、計画
戸数約8,400戸、計画人口30,000人となっている。ユーカリが丘中央の井野の森をはじめ
自然も多く残り「自然と都市機能の調和」を目指して1971年の事業着手来、毎年200戸
程度の開発を続けている。単に住宅を開発して終わりというだけでなく、住宅を買い取って
リノベーションし、高齢者から住宅を買い取って地区内での住み替えを支援し、買い取った
住宅をリノベーションして新たな子育て世帯の入居に繋げる「住み替えサポート」を手掛けて
いる。この他にも、24時間対応のタウンセキュリティー(成田空港に近いため住宅侵入などの
被害が多いという)、高齢者支援施設、子育て支援施設、健康増進活動(順天堂大学WHO
指定協力センターの支局)など様々な生活支援サービスも手かげている。
  開発事業者が自ら鉄道事業も手掛けてユーカリが丘線を開発し、全ての住宅が鉄道駅へ
徒歩10分以内でアクセスできるというのもアピールポイントの一つとなっている。ただし、
このユーカリが丘線については、各駅ともバリアフリー対応ができていないという課題がある。
現地の担当の方の話では、60代〜70代前半の方はマイカー利用が多くバリアフリー工事の
必然性がまだ薄いと判断しているのと、資金的に余裕もないとのことだが、居住者の高齢化に
伴って今後は工事をする必要性が出てくると思われた。
  もう一つの特長として、開発事業者のスタッフ自体も居住者となり、住民として日頃からニーズを
捉えてきており、これらの様々な生活支援サービスを提案し事業化してきたという。生活支援
サービスにも自然環境にも囲まれ、住宅地としての環境もよく、住みたいまち、住み続けたい
まちとして人気が高いのも理解できた。鉄道事業についてはやや課題があると思われるが、
様々な生活支援サービスを充実させ、まちの運営のビジネスモデルをつくってきたこの事例は
大変参考になった。
(浅野 健)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2011/yukarigaoka/

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・東北の大震災に配慮してライトアップなどを自粛する花見スポットもあるようですが、
  この土日にかけて訪れた桑名、岩倉の桜の名所では、桜を楽しむ人々でにぎわって
  いました。連日の大震災の報道で暗くなりがちな中で、花がまちも人の気持ちも明るく
  してくれる気がしました。(T.A)

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◎ホームページでは一方的な情報提供に終わってしまいますが、このメールマガジン
  を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
  ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
  載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
◎バックナンバーはホームページに公開しています。
   http://www.spacia.co.jp/mm/
◎今後の配信を希望されない場合は、このまま返信して下さい。
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
  〒460-0008 名古屋市中区栄5-1-32 久屋ワイエスビル8階
   TEL 052-242-3262 FAX 052-242-3261
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