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視覚的高齢社会

 最近は住宅地であれ、都心であれ、地下鉄の中であれ、バスの中であれ、通勤・通学時間を除けば高齢者に数多く出合います。わが事務所は都心栄の矢場町寄りにありますが、久屋大通を挟んだ目の前には松坂屋があります。昼間に地下鉄矢場町駅を降りて地下通路で松坂屋に歩いていくと、私以外はほとんど高齢者という風景に何度か出くわしました。私自身健康のため、地下鉄栄駅でおりて地下街を通って矢場町に向かって歩くこともよくあります。その方向には中日ビルがあり、中日劇場や栄中日文化センターがあるためか、ここも多くの高齢者が行き来しています。高齢者の流れに応じて店舗が変化してきています。味噌粕漬で有名な飲食店(鈴波栄南店)では開店前から人々が並んでいます。一つ目の写真は鈴波栄南店と同じ並びにあるトキワ園書店の地下街に面した書棚の写真です。気付かなかったのですが、いつの間にか、高齢者向け書籍がギッシリと並んでいます。健康本(タイトル例:自然療法シンプル生活、腰痛は99%完治する、代謝を上げると健康になる、「首の後ろを押す」と病気が治る…)、葬式や相続本(葬式はいらない、だから 葬式は必要だ、葬儀・寺・墓・相続大事典、遺言書キット…)、ボケ防止本(ボケる人ボケない人の生活習慣、ボケない技術、認知症の本…)、生き方本(おひとりさまの老後、ひとりの午後に、定年から輝く生き方、ポックリ名人…)、散策・旅の本(めぐる名古屋歴史散歩、名古屋みちくさランニング…)。これだけ揃えて並べられれば圧巻です。なかなか商売上手です。
  もう一つの写真をご紹介します。これは四日市市の駅から市役所に行くアーケード商店街の一角にある店舗です。昔からある女性用衣料品店でそこにマネキンが立っていました。よく見ると外人顔で浴衣を着ています。しかし、笑顔と正反対の、眉間にしわを寄せていそうな顔で、全く愛想がありません。いやいやながら浴衣を着ているようで、とても買いたいなぁと思わせる商品展示になっていません。確かめてはいないのですが、高齢の経営者が店を構えているように見受けました。あるもの(マネキン)を使うことはいいのですが、使い方が………、少し商売下手です。
  こういう視覚的変化は街なかの至る所で起こってくるでしょう。そして気づけば私自身も只中にいるのでしょう。

トキワ園書店
書店の棚にはお年寄りのための本がギッシリと並んでいます。

マネキン
無愛想な外人顔のマネキンがいやいや浴衣を着て


(2010.8.2/井澤知旦)