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国盛 酒の文化館(半田市)

  「國盛 酒の文化館」は、1986年に中埜酒造株式会社がつくったお酒の博物館で、日本酒の紹介をするとともに、使われなくなった道具、伝統的な技の伝承を目的としている。黒塗りの壁と漆喰窓が重厚な雰囲気を醸し出す建物は1972年まで約200年にわたって実際に酒造りが行われていたという酒蔵をそのまま生かしたもので、内部には"アミダ"と言われる、酒造道具や材料の上げ降ろしに使ったという巨大な水車のような装置も保存されている。

 見学は無料であるが、電話での予約が必要。見学する時は、親切なガイドさんがついて館内の説明をしてくれる。日本酒に使う米の種類、和紙人形による昔の酒づくりの工程の説明、昔酒造りに使っていた道具の展示などがある。ひととおり回ってから、ミニシアターで中埜酒造の酒をPRする短い映像を見て、試飲。そして最後は販売コーナーへと案内される。ここまで来たら、つい1本や2本は買ってしまう。

 感心したのは、ガイドさんの熱心なこと。公営の施設では、ここまで熱心な人はまずいないだろうと思われた。販売促進のためでもあるだろうが、それだけではない熱心さがある。私達の団体を案内してくれたのは新美さんという女性で、ガイド歴14年のベテランだ。「来てくれる人に合わせて説明を考えます。先日は文学に関心のある団体さんだったから、文学的な側面から日本酒のご案内をしました」と話してくれた。私達の団体は建築関係者だと伝えてあったので、そういえば建物の歴史などについての話をたくさんしてくれていたと気づく。

 ガイドさんの熱心さにも現れているように、ここのような民間企業が経営する博物館は、公共団体がつくる博物館とは違った緊張感があり、面白い。博物館が、自社製品の品質を消費者にダイレクトにPRする場であるので、企業側は手を抜くことができないのだ。近くにはミツカン酢が経営する「博物館 酢の里」もあり、近接してこういった、身近な調味料にまつわることを楽しみながら見学できる施設があるというのは、外の人間を呼び込む大きな力となる。博物館を経営できるということは、企業が儲かっているという証拠でもあり、企業博物館が2つもあるということは、その地域が元気な印だ。

 最近は情報誌などでもよくこういった企業博物館の宣伝がされているためか、若いカップルも何組か来ていた。ただで日本酒を飲んでデートできるところが人気の秘密だろう。


酒の文化館


ガイドの新美さん


酒造道具や材料の上げ降ろしに使った”アミダ”

  (2002.6.29/伊藤彩子)