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こども文化財体験(名古屋市緑区有松・棚橋家住宅)

 活動のお手伝いをさせていただいている愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会(略称:愛知登文会)が、平成23年設立以後継続実施している小中学生を対象にした「こども文化財体験事業」の今年度1回目が先日名古屋市緑区有松にある「棚橋家住宅」で開催された。
 この「こども文化財体験事業」は、こども達に身近にある文化財建造物に親しんでもらい地域への愛着を高めてもらうとともに、これをきっかけにして文化財の保存・活用やまちづくりの将来の協力者に育ってもらおうという目的で実施され、国登録有形文化財の建物についてのお話と文化体験を組み合わせたプログラムを提供している。
 今回実施された棚橋家住宅は、元は有松を代表する絞り問屋服部家の住宅であったが、昭和7(1932)年に無医村であった有松で開業することになった棚橋家が当時空き家であった服部家住宅を購入し医院を開業、以来約50年に渡って地域住民にも親しまれてきた建物だ。医院は昭和63(1988)年に移転しその後長年空き家となっているが、建物は旧状を維持し、正面2階と側面の白い塗籠(ぬりごめ)の外壁は有松の商家の特徴をよく表している。平成21(2009)年の国登録文化財登録を契機に、今後も大切に守っていきたいという所有者の想いから改修工事が行われた。築138年のこの建物は、所有者や使用用途の変化に伴い、特に内部は様々な改造が行われてきたが、今回の改修工事では棚橋家が購入した時点を改修の焦点とし、医院開業で改造されていた1階点滴室部分等は元の座敷の姿に戻されている。
 今回実施した「こども文化財体験事業」では、『見たり、聞いたり、伝えたり 〜有松の古民家で再発見〜』というテーマで、はじめに、大梁がみえる2階の空間で所有者及び改修工事を担当された建築士より、棚橋家住宅のお話や建物の特徴をわかりやすく解説いただき、後半は1階の座敷でNPO法人さわやか絵手紙の会による絵手紙教室を実施した。建物解説では、内部だけでなく外観も見学し、復元された鬼瓦には服部家の屋号「大井桁」の紋と棚橋家の紋が施されていることなどを伺った。こども達からは「138年もほぼそのまま残っていてすごい」「天井の上が空洞になっていて骨組みが見えて驚いた」といった感想が聞かれた。
  現在、建物の通常公開はされていないが、年に数回は地域のお祭りや特別の時に貸し出しが行われている。所有者の意向で今後はさらに活用を広げていきたいとの話もあり、どのような形で活用が進められるか、愛知登文会でも考えていきたいと思う。

棚橋家住宅外観
棚橋家住宅外観
棚橋家住宅2階
棚橋家住宅2階で建物解説を実施
外観を見学
建築士より解説いただき外観を見学
絵手紙教室の様子
絵手紙教室の様子
絵手紙を作成する子供たち
絵手紙を作成する子供たち
完成した絵手紙
完成した絵手紙

(2014.5.29/喜田 祥子)