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建築物における省エネ施策の最新動向セミナー 7月28日開催/主催:中部電力

 2014年4月25日に、BELS(ベルス、建築物省エネルギー性能表示制度)という新しい制度が創設された。本セミナーでは、このBELSを中心に最新の省エネ施策が紹介された。
 BELSは、非住宅建築物における省エネルギーの一層の向上、及び不動産市場等における適切な情報提供などを目的に、第三者機関がガイドラインを基に客観的に評価・表示を行う制度で、国土交通省が主導で開発された。例えば、断熱性能について評価する場合、従来の省エネ基準では、外壁やサッシなどの外皮性能に関する基準だけであったが、BELSでは外皮性能に加え、冷暖房設備の性能や太陽光発電設備など、一次エネルギー消費量に関する基準も評価対象となり、より実際のランニングコストに関係が深い指標となっている。これにより、企業の省エネルギーを通した社会貢献へのアピールやテナント誘致の営業ツールとして、様々な場面での利用が想定できる。
 BELSの評価は星の数で表記されるが、それはBEIという値により決められている。BEIとは「設計一次エネルギー消費量」を「基準一次エネルギー消費量」で割った値で、2013年省エネルギー基準の最低限の性能を満たした場合はBEIがほぼ1となる。数値が低いほど評価が高く、1以下で星2つ、最高の星5つでは0.5以下となる。
 最高の星5つを取得した建物の第一号は、大成建設が5月に横浜市に完成させた「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)実証棟」で、BEI値0.14を実現させた。この建物は、一般的なビルと比べるとエネルギーの消費量が25%まで低減されており、さらに残った25%を太陽光や燃料電池による発電でカバーすることで、エネルギー収支をゼロにする目標が掲げられている。
 すでに2001年には、CASBEE(キャスビー、建築環境総合性能評価システム)が開発され、実際に運用されているが、CASBEEは建物の音・光環境、換気性能などの住み心地や、冷暖房効率などのランニングコストを総合的に評価するツールとして活用されており、新築のマンションなどがCASBEEの評価により商品価値をアピールするようになってきている。一方、BELSは非住宅の省エネルギー性能に特化した指標で、テナントビルなどの不動産のランニングコストを客観的に判断する指標として、今後注目を浴びるだろう。

 

(2014.9.1/堀内 研自)