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知多木綿のふるさと岡田のまちづくり
 先日、知多市の中央部に位置する岡田地区を訪れた。知多半島には大きな川がなく、水不足に悩まされ続けてきた。ここ岡田も例外ではなく、農業には不向きで農家は副業である綿作や棉織を行っていた。江戸時代に晒(さらし)技術が導入された後は、知多晒として江戸にまで出荷されるようになった。岡田は生産地としてだけでなく、仲買人が半島中の木綿を集め、買継問屋が江戸の問屋に送るという流通の拠点として栄えた。明治以降、仲買人や買継問屋が自動織機を備えた織布工場を創業し、全国各地から女子工員が集まるほど隆盛を極めた。しかし、繊維・織物産業は徐々に衰退し、昭和40年代半ばになると織物工場の撤退・取り壊しが始まり、それに伴い商店街が衰退し、まちが寂れてしまった。

 なんとかして岡田のまちの活気を取り戻そうと平成6年に結成されたのが、「岡田街並保存会」である。木綿産業の最盛期の岡田の繁栄を象徴している土蔵や、旧道や路地の石垣・黒板塀・瓦屋根の町並みの保存のために地道なお願い活動やマップ・案内看板作りを行っている。平成7年には、取り壊し寸前であった木綿蔵を保存・改修した。知多木綿の機織りの伝承に取り組む女性グループ「手織の里 木綿蔵・ちた」は、この木綿蔵を借りて、機織り体験を一般の人に提供している。2時間でランチョンマットができる機織り体験は好評で、マスコミに取り上げられたり、小中学生の体験学習に利用されたりしている。「伝承知多木綿 つものき」や「手織り工房 やまもも」の同様のグループも活動しているだけでなく、それらを支援する「ちもれ(知多木綿連絡会)」も存在する。これらの団体や従来からあるコミュニティの連携などによって七夕祭りや書画写真展などの様々なイベントが行われている。また、歴史的な町並みが残っている地区には珍しく、空き家が一軒もないそうである。様々な市民グループが積極的に活動していることは市にも認められ、平成13年度の都市景観形成計画業務委託の第1弾として岡田地区があげられた。

 これらの市民活動団体がさらに連携を強め、2006年に現在と同じ町並みを舞台に岡田生誕400年の記念事業が行われることが楽しみである。

岡田の町並み(旧道) 


岡田町並保存会の事務局がある岡田簡易郵便局


手織りの里 木綿蔵・ちた

竹之内資郎邸と蔵

(2003.6.10/山崎 崇)