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ソーシャル・キャピタル 人と組織の間にある「見えざる資産」を活用する
/ウェイン・ベーカー著 中島豊訳

ダイヤモンド社/2001.8.9発行
 まちづくりとは、何か?多くの人は、住民や行政、専門家が連携しながら進めるハードとソフトが一体となった居住環境の活動をイメージするのではないか。そこから具体的に、市街地整備、再開発、町並み保存・・・などへとイメージが膨らむ。まちづくりは、何らかの住民の関わり方をなくして実現してゆくことができないのは確かであり、まちづくりの成功事例において住民の貢献あるいは役割が存在しないところなど皆無に等しい。しかしながら、まちづくりにおける住民の貢献や役割というものが、残念なことに偶然の結果としてその多くが整理されている。
 まちづくりにおける住民の貢献や役割を担うことのできる社会的な条件とはいかなる環境であるか。一方で、行政担当者が、住民が主体的にまちづくりに関わりながら進めてゆける仕掛けを必要としているのも確かではないか。
 
最近、この条件や仕掛けをソーシャルキャピタルの視点から分析が試みられつつある。本文献では、ソーシャルキャピタルを個人的なネットワークやビジネスのネットワークから得られる情報、アイデア、チャンス、信頼、協力などとして定義している。経営事例における成功条件をソーシャルキャピタルから分析し、その重要性やそれを高めてゆくための手法についても簡単に触れてある。そういう点では、ソーシャルキャピタルの入門書としては最適な文献である。
 まちづくりにおいても、生活の場としての地域社会や生活空間を考えてゆくための豊富な視点をこのソーシャルキャピタルは示している。今後、住民が主体的にまちづくりに関わり進めてゆくためには、ソーシャルキャピタルの視点が欠かせないと思う。それは、まちづくりの多くの課題は、生活の場と非常に密接に結びついているからである。
(2002.6.6/浅井)