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街が動いた ベンチャー市民の闘い/脇本裕一著

学芸出版社/2000.7.30

 「まちづくり誕生」で始まる第1章は名古屋で起こった歴史的なまちづくり運動である「名古屋・栄東」をとりあげている。
 まちづくりのルーツが名古屋にあったということを知らない名古屋のまちづくり関係者も増えた。今ではまちづくりといえば、世田谷区や横浜市、神戸市の取 り組みの方が有名だが、まちづくりの発祥の地が名古屋であるということは、もっとPRしていきたい。その意味で、この本でその歴史を振り返り、現在の目で 評価されているのはうれしいことだ。

 ここでは、このほかに、大阪・天神橋、高松・丸亀町、長野県飯田市、大阪府豊中市という先進的なまちづくりの取り組みをとりあげている。いずれも住民を 中心とするまちづくりの人間ドラマが語られており、興味深いが、自分にとっては、専門家の関わりや役割といった点で考えさせられた。

 私の恩師や知っている人の名前もでてくる。こんなことをやっていたんだ、と本書で初めて知ったことも。一般市民向けというよりも専門家としてまちづくりに関わっている人間が読むべき本かもしれない。

(2001.1.25/石田富男)