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学校を基地にお父さんのまちづくり−元気コミュニティ!秋津/岸祐司著

太郎次郎社/1999.3.25 

 自分の子どもが小学校に入学し、学童保育に行くようになった。学童保育では毎月父母会があり、バザーなどの行事もあって大変だなあと思っていたが、おかげでこれまではなかった、子どもを通じた父親どうしのつきあいというのもできるようになってきた。一方で、小学校のクラスの入学式や授業時の騒がしさに学級崩壊の危機を感じていた。

 そんな時に読んだ本だっただけに、この千葉県習志野市立秋津小学校における取り組みは強烈だった。それも伝統的なコミュニティのある地域の話ではなく、東京湾の埋めたて地にできた全く新しいまちでの取り組みだったということに。しかし、従来のしがらみのない全く新しいまちだからこそ、こんなことができたのだともいえる。コミュニティの取り組みが地域に愛着を生み、住み続けたいという人を増やしていく。理想的な姿だ。

 ここでは、小学校のPTAに父親が積極的に参加している。ここも当初は母親それも専業主婦を対象としたようなPTA運営(つまり働く人の都合を考慮しない会議の開催)であったが、会議を土曜日に開催したり、父親をひっぱりこむような仕掛けとして飼育小屋づくりや教室を改造した図書館「ごろごろとしょしつ」づくりなどが行われた。気軽に参加できる舞台と、踊りやすい脚本を用意すればお父さんも出てくるはず、という指摘は学童行事への参加を通じて自分が感じていたことでもあった。

 秋津小学校でのとりくみは秋津のまちづくりへと展開していく。小学校の余裕教室を活用したコミュニティルームが誕生し、地域の高齢者と子どもたちのふれあいが自然と生まれてくる。学校のクラブ活動に地域の人々が関わってくる。地域は人材の宝庫という言葉を聞くがそれを実践しているのが秋津コミュニティだ。学校と地域の交流・連携によって、様々なことが授業にとりいられている。学校と地域が混ざりあい解けあいような、学校と地域双方にメリットを生み出す「学社融合教育」にまで発展してきている。その中から「秋津のまち紹介ホームページ」も生まれている。

 こんなことが自分の地域でできるのだろうかと思いながら、まずはこの本をみんなに紹介することからはじめようかと思った次第。この本はある研究会の会場で販売されていた最後の1冊を購入したものだが、出会えてよかったと思える本だ。

(1999.6.27/石田富男)