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上海を訪問して
 商工会議所の視察で上海を訪問した。以前、訪問したのが15年前。うわさには聞いていたが、あまりにもの変貌ぶりに驚いた。2010年の上海万博にむけ、どこも建設ラッシュ。車、自転車、人があふれ、高層ビルが林立する。20階以上の超高層ビルが上海市だけで4000棟。日本中の超高層より多いという。高速道路、地下鉄、リニモ。どれも15年前にはなかったものばかりだ。
 これらの状況については、下記の写真とあわせて記載したコメントを見ていただくこととして、ここでは感じたことを3つ記載してみたい。

(1)2010年に開催される万博は都心からわずか4km、528ha(愛知万博が173haであるので、その3倍)を会場としているが、ここには1800世帯が居住し、270企業が操業していた。これらの住宅、企業を新たな住宅団地等を建設し、一斉に移転する計画であり、開催決定から3年半の現時点ですでに移転先の団地が完成し、移転契約はほぼ100%完了しているという。万博を都心の再開発に結びつける戦略であるが、短期間にそれが実現してしまうところが日本との大きな違いだ。一部の人の移転はコミュニティの崩壊につながるが、全員が同じ場所に移転すればそこでコミュニティが再生できる。日本では考えられない乱暴な都市づくりと感じてしまうが、これも1つの方法なのだろう。

(2)高層マンションの建設ラッシュは上海だけではない。上海から蘇州に向かう高速道路の沿道に高層マンション群がいくつも現れる。平坦な土地が広大に広がっているのに、なぜ高層マンションが必要になるのか。果たして需要はあるのだろうか。次から次から作り続けることでなんとかバランスを保っているような気がする。

(3)案内をしてくれた中国人はアメリカや日本にも留学したことがあるというエリートで自分の調査としてお金持ちに対する隣人の意識についての興味深い結果を教えてくれた。アメリカ人は「あの人は運が良かった」と大半の人が答え、日本人は「運が良かった」と「努力した」が半々。中国人は「あの人を殺したい」と感じる人が大半だと。ペットボトルのお茶は3.5元(53円)、地下鉄1区の運賃は3元(45円)であり、物価は日本の1/3から1/5の感覚であるが、平均給与は2〜2.5万円と少ない。こんな給与でマンションが買えるはずがない。マンションを買う人はグレーの収入のある人という。中国の光と陰を感じる話である。


1992年から国策として金融貿易区が
建設された浦東開発地区。
森ビルが世界最高の展望台(地上472m)
となる「上海環球金融中心」を建設中。


浦東開発地区の模型。
都市計画では高さの最高を海沿いから中心にかけ、
100〜360mとしていたが、
特認でそれ以上となっているビルが多い。

上海城市規制展示館にある2020年の都市像
を500/1のスケール示す模型。


低層住宅と高層住宅。
再開発によってどんどん高層ビルが建設されている。


空港から34kmを7分18秒で結ぶリニモ。
地下鉄に乗り換え、都心に向かうことができる。



最高時速431km。
2010年までには杭州までの145kmが完成予定。
万博会場にもリニモでいくことができる。



高速道路は3つの環状線があり、
車線は片側3車線が普通。
高速道路が四重に交差しているところもある。


大渋滞の高速道路。


上海ナンバー以外は高速を通行できない。
上海ナンバーの取得には70万円が必要だという。


一般道路も広い。


主な道路には車道の一部を自転車、
二輪用に柵を設けている。


雨天でもカッパを着て自転車を利用する人が多い。
長距離を利用するためか、電動付き自転車が普及。


地下鉄のホームに時刻表はない。
次の電車までの時間をカウントダウンで表示。


切符購入の際も料金表はなく、行き先のボタンを押すと料金が表示される。日本のシステムよりもわかりやすい。


   (2006.6.12/石田 富男)