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キャンパスプラザ京都を訪れて

 京都というまちの特性を語るとき、神社仏閣の多さに加え、歴史ある大学の多さもあげられる。大学関係者は17万人を超えると言われ、市民の一割にあたる。地価高騰のあおりを受けて、一時期はキャンパスの郊外移転が進み、「大学のまち京都」が危ぶまれたが、ここ数年「大学を核としたまちづくり」が進められている。

 「キャンパスプラザ京都」は京都の42大学・短大が参加し、大学という枠を越えた市民・地域社会と大学の交流を目指す、大学コンソーシアム京都(1994年発足98年に財団法人化)の活動拠点である。京都駅の北に面し、延べ床面積11,677u、地上6階・地下1階建てのモダンな建物に、学生・社会人・地域の人々が集い交流している。まず施設ありきではなく、6年間積み重ねられた活動の受け皿として施設が完成した。
 目玉の1つは、大学コンソーシアム参加大学で、またキャンパスプラザで開講されている「京都学」と呼ばれる講座である。「仏教」「生け花」「茶道」「香道」などの京都ならではの歴史や環境を生かした講座は、単位互換制度を利用する学生にも市民講座でも非常に人気が高い。また、予想外にニーズが高かったのは、学生交流の支援とリメディアル(大学の講義を受けられる水準に教育すること)であるという。学生交流の停滞と、学生の理解能力の低下は京都に限らず、全国の大学が抱える問題であり、たまたま大学連携を行なったことから、明確になったのではないかと担当者は言う。
 大学コンソーシアム発足当時、ちょうど京都で学生生活を送っていたのだが、せっかく京都に来たのだから、と池坊短大の茶道講座を単位互換制度で履修しようとした。しかし、まだ大学コンソーシアムは試行段階であったため、文学部社会学科の学生は履修できなく、非常に悔しい思いをした。4年間を京都というまちで過ごし、大学の枠を越えて「京都学」を学ぶことにより、まちへの愛着を深める学生は多いのではないだろうか。


(2001.5.29/竹内 郁)