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 ◆  ■   ■  ■  ■  ■ ■  ■  □[第91号]2003/12/29
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 スペーシア・メールマガジンの第91号をお送りします。
 名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
 
<内容・目次>
  ◆施設紹介◆
   ・田原市図書館
  ◆図書紹介◆
   ・失われた景観 戦後日本が築いたもの 
  ◆読者の声◆  
  ◆スペーシアのこの頃◆ 

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 ◆施設紹介◆ −名古屋から情報発信−
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○ 設計段階から住民ニーズを反映させ、完成後も住民とともに歩みつづける
  田原市図書館 ○

 田原市は愛知県東部に位置し、旧田原町と旧赤羽根町の2町が合併して平成15年8月
に誕生した市である。その生涯学習の拠点である田原市図書館は、市民ニーズを設計
・施行に反映させたこと、図書館の新設と既存の公共施設(総合体育館・文化会館)
の一部改修によって相乗効果をもたらすようなプランニングがされたこと、という点
で特筆すべき施設である。

 元々は旧田原町の第3次総合計画(昭和63年3月)に図書館建設が位置づけられたの
が発端。平成8年に図書館建設構想委員会を立ち上げたあと、プロポーザル方式で図
書館の建設で実績があった和(やまと)設計を選定し、図書館運営に実績のある人を
職員として採用して、運営方針がプランニングに伝わるような体制を整えた。その
後、基本設計、実施設計を経て平成12年11月に図書館建設着工、平成14年8月にオー
プンした。この間、設計・施工段階で9回のワークショップ(情報広場)を開催して
市民ニーズを反映させている。

 図書館自体は、書物の管理を配慮して南側に壁を設けて直射日光をなるべく遮りつつ
、6つの中庭と3つのテラスが配置されることで、自然光、緑を感じながら読書が楽
しめるよう配慮している。また、開架スペースを小さな房に分節して資料ごとに分節
化しつつ間仕切りを少なくして回遊性を持たせるなど、豊かな空間を構成している。
施設全体では、中央のアトリウム・プロムナードを介して文化会館、体育館、図書館
に自由にアクセスできるようにし、住民活動を支援するためのフリースペースも設け
ている。また新たに情報センターの機能も付加した。

 運営面においては、図書、雑誌、視聴覚資料など35万点の収蔵もさることながら、録
音図書・点字図書・大活字本など障害を持つ方へのサービスも充実している。ボラン
ティアのスタッフが手づくりで飾り付けをしているのもほほえましい。11月末の土曜
日に訪れた時には、静けさが求められる図書館で表現がふさわしくないかもしれない
が“活気がある図書館”という印象をもった。

 建物にはしっかり費用をかけた割に利用されない公共施設を称して“ハコモノ“など
と揶揄されるが、設計段階から市民ニーズを反映させ、スタッフが充実するなどハー
ドとソフトの両面でしっかりと配慮されれば、市民に利用され”ハコモノ“ではない
価値ある公共施設となる。田原市図書館・生涯学習施設は、今後の公共施設の方向性
を示す一例ではないかと思った。(浅野 健)

田原市図書館のページ
 http://www.city.tahara.aichi.jp/section/library/index.html

→ホームページに写真を掲載しています。
 http://www.spacia.co.jp/Nagoya/konna/taharatosyokan/index.htm

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 ◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−  
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○ 失われた景観 戦後日本が築いたもの /松原隆一郎 著 ○

 近年、都市景観の対する関心が高まっている。国立の景観裁判は画期的であり、それが
与えた衝撃は大きい。名古屋市でも白壁地区のマンション建設で20mを超える部分を禁止
する仮処分も出された(その後、階数を1階減らす。仮処分命令取り消し)。国土交通省
では景観基本法を制定しようとしている。

 本書は、国立の判決が出される前に出版されたものであるが、生活圏で生じた4つの景
観問題の事例をとりあげながら、わが国における日常景観がなぜこれほど奇妙で見にくい
ものになっているかを考察している。
 まず、ロードサイドショップによって「清潔な廃墟を思わせる奇妙な景観」がつくりだ
されている郊外景観をとりあげている。フランチャイズ・チェーンによる全国一律化、車
窓から見られることを前提とした外観、さらに大店法、大店立地法の問題にも言及してい
る。
 2つめは筆者の故郷でもある神戸市。都市開発の分野では様々な先進的取り組みが注目
されている都市であるが、住吉川景観訴訟では住民の訴えに対し、日常景観を破壊し高架
を建設してしまった。震災後に一変してしまった景観についても触れられており、筆者の
嘆きがこめられている。
 3つめは美の条例で有名な真鶴町。条例制定までについては、関わった3人の専門家によ
る著作「美の条例-いきづく町をつくる」で知っていたが、第3者の目から住民がこの条例
をどうみているかについても言及しているのが興味深い。
 4つめは電線地中化問題。当初は事業者負担によって、需要の高い大規模な商業地域や
オフィス街などで行われてきたが、それを住宅地まで広げようとしている。しかし、なか
なか進まないのが現状であり、その背景をわかりやすく解説している。アメリカでは安全
性から電線の地中化が推進されたが、日本ではその問題発生が半世紀遅れたために電線を
「被覆」する技術が開発され、安全のための地中化が進まなかったとという。

 社会経済論として書かれたものであるが、非常に興味深い事例をとりあげ、それをわか
りやすい文章で語っている。文章の書き方としても参考にしたい本である。 
 (石田富男)

 →ホームページに表紙の写真を掲載しています。
  http://www.spacia.co.jp/Mati/tosyo/usinawaretakeikan.htm

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 ◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介− mm@spacia.co.jpへ
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 (みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします) 

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 ◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・2003年最後のメルマガです。スペーシアでは毎年仕事治めの日に大掃除と忘年会
 を行っています。今年は当社設立時から関わり、この12/6にオープンした大須再開発
 ビルの中華街で開催しました。順番待ちがでるぐらい大いに賑わっていました。
 来年もよろしく、お願いいたします。

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 を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成
 できればと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガ
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(株)都市研究所スペーシア  編集:石田
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