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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)    □[第310号]2012/5/21□ □配信数 801□

スペーシア・メールマガジンの第310号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆まちのトピック◆
 ・「木愛の会」第2回設計競技公開講評会+講演会
 ◆名古屋まちづくり情報◆
 ・現代アートと伝統が融合する佐久島(愛知県西尾市)
 ◆図書紹介◆
 ・石原武政 著「商業・まちづくり 口辞苑」
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆
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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○「木愛の会」第2回設計競技公開講評会+講演会○
 「間伐材丸太による小建築−木造都市での可能性を問う−」

 2008年7月に実施した「新しい木の建築−魅了する木造都市へ−」
に続く第2弾となる木愛の会第2回設計競技
「間伐材丸太による小建築−木造都市での可能性を問う−」
の審査会が3/31に開催され、厳正なる審査の結果、
応募総数107点の中から最優秀賞1点、優秀賞2点、入賞5点が
選出されました。
 下記のように公開講評会+講演会を開催します。
 当日は、審査会で1票以上獲得した40作品の展示及び
施工作品の発表、入賞作品集の販売も行います。
 申込不要です。お気軽にご参加ください。

【日時】平成24年 5月26日(土) 13:30〜17:00
【場所】名古屋大学ES館 ESホール
【講演】宇野享(建築家/CAn/大同大学工学部教授)
     「木の建築という視点」
【講評】入賞者8名×審査員8名(予定)

*下記にちらしあります。
http://www.kiainokai.net/event/120526/120526.pdf

*入賞作品8点のPDFデータはホームページからダウンロードできます。
http://www.kiainokai.net/event/1203compe/index.html

木造都市研究会「木愛の会」
http://www.kiainokai.net/
http://www.facebook.com/kiainokai

〜スペーシア・石田〜

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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○現代アートと伝統が融合する佐久島(愛知県西尾市)○

 先日、愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会の2012年4月交流会で、三河湾に
浮かぶ佐久島の視察に出かけた。佐久島までは、名古屋駅で集合して観光バスで
西尾市一色港に移動し、一色港からは1日6往復、片道約20分で佐久島と結ぶ船での
移動だ。
? 午前中は、島の西半分を視察。最初に立寄った弁天サロンは佐久島西港にあり、
民家を修復して平成10年にオープンした文化交流施設である。ここで、佐久島を紹介する
ビデオ映像と用意していただいた資料を使って市職員の方の説明を受けた。その概略を
説明すると、バルブ期を経た1991年に三河湾リゾート整備構想重点地区に指定された後、
この構想に基づく開発が検討されたが進展しなかった。1995年の国勢調査では島民人口が
400人を割り、ちょうどこのころ、旧国土庁が各界で活躍する女性だけの委員会「よい風が
吹く島が好き女性員会」が設置されたことが機会となり、これまでにない発想による島おこしが
スタートした。1996年には「島を美しくつくる会」が発足、2001年からは島民とアートの
コラボレーションによる島おこしプロジェクト「三河・佐久島アート21プラン」がスタート。また、
コールタールで塗られた黒壁の家並みが、世界に名だたるミコノス島の「エーゲ海に浮かぶ
白い宝石」にも並ぶ存在として、「三河湾の黒真珠」(提唱者は現名古屋市立大名誉教授の
瀬口哲夫氏)とよばれるようになった。10年以上続く島民とアートのコラボの取り組みにより
「アートの島・佐久島」の認知度は上がり、今では年に何度もテレビ・ラジオ・新聞・雑誌等の
取材申し込みがあり、市が窓口となって佐久島にとって有益な取材かどうかを選別している
という。それでも2011年度は年間70件以上と、毎週1〜2回のペースで受けていることになる。
? 次に、3月にオープンしたばかりの「佐久島クラインガルテン」へ。離島のクラインガルテンは
全国初とのことで、ラウベ(宿泊棟)は全部で10棟あり、利用期間は、1年間(5年を超えない
範囲で延長可能)、1区画48万円/年(水光熱費別)、佐久島に住所を有せず、年間70日以上
農園を利用、島民との交流、島内の各事業への積極的な参加などの条件付きとなっている。
2012年1月に募集をし、10区画ともうまっている。利用者は定年後の人がほとんどで、名古屋市
など近郊の人が多いものの、遠くは奈良や長野から来ているという。
? 午後は、島東港近くの民宿「さざなみ」へ移動して昼食の後、ここのオーナーで島をつくる会の
コアメンバーでもある鈴木喜代司氏にお話しを聞くことができた。「この先10年後も大きくまちを
変えたくない」「アーティストと島民の協働を続けていきたい」「島民が島をきれいにすれば
観光客もゴミを捨てなくなる」「ライバルは(東海地方のメジャーなスポットの)ナガシマや鈴鹿だ」
「漁業で採取するのは島民に必要な分だけ」などの言葉の端々から、これまで思い入れを
持って取り組まれてきたことがうかがえた。
  佐久島の特徴を一つ選んであげるならば、「現代アートと島の伝統の融合」ということでは
ないだろうか。このことは、アーティストの松岡徹氏や学生等のボランティアの協力で50年ぶりに
伝統行事の祭り舟が復活(2007年)したり、ふるかはひでたか氏、松岡徹氏と2人のアーティストや
県内8つの大学研究室等の制作により島内に点在する「佐久島弘法」(霊場)のリノベーション
(2010〜2012年)などの事業に表れていると思う。アート作品と弘法巡りの他にも、町並み散策、
自然のふれあい、そしてなんといっても新鮮な海の味覚も堪能できる。島の伝統を打ち消さず
尊重しながら新たな価値を生み出すという佐久島での取り組みは、これまで各地で見てきた
「アートとまちづくり」では感じたことがない素晴らしさを感じた。また何度も訪れたい島である。
(浅野健)
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2012/sakushima/
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○石原武政 著「商業・まちづくり 口辞苑」○

 初めて石原武政氏(現、流通科学大学特別教授)の著作に出会ったのは「小売業の
外部性とまちづくり」(2006.3 有斐閣)である。この書評はすでにこのスペーシアのメール
マガジンに掲載(NO.169 2006.12.25)されているので触れない。氏はマーケティング競争論、
流通政策の専門家である。まちづくりから商業に言及する研究は多いが、商業からまちづくりに
言及する研究はさほど多くない。あったとしてもその参考文献を見ると、商業研究者の
ものがほとんどであり、商業ムラ社会の域を出ていない。しかし、先の著作は都市計画
分野の書籍を丹念に読み込んで分析している。なかでも私たちが翻訳した「よみがえる
ダウンタウン-アメリカ都市再生の歩み−」(フリーデン&セイガリン 北原理雄監訳 1989
 鹿島出版会)が扱われていた。そのため、現金なもので、親近感を感じた次第である。
それをきっかけに講演会やシンポジウムの基調講演を氏にお願いすることになり、今日まで
付き合いが続いている。氏は現場重視の研究者であり、気さくで分け隔てなく、関西人
特有のユーモアを持って対応していただいている。そんな気質がこの著作を創りだしたと
言える。
 「こうじえん」と言えば、岩波の「広辞苑」、そして相原コージのギャグ漫画「コージ苑」、が
思い浮かぶが、これは「口辞苑」。辛口の解説を加えた辞典という意味だろうか?この
著作の特徴は、390項目の商業・まちづくり用語を必ず1.建前と2.本音の対で記述して
いる。2.本音の部分が「悪魔の辞典」的だと言われている。商店街の現場に出てみると
本当にそう考えている?といった建前の会話が多く、それが判断を誤らせるという問題
意識がそこにはある。本音に言葉の真意がある。
 例えば、「空き店舗問題」:(意訳)1.十分な品ぞろえができなくなり、魅力低下、集客力
低下が他の小売店の経営基盤を脅かすこと、2.全ての空き店舗を埋めようとするが、
商圏内購買力が低下しているため非現実的といった問題や空き店舗がなくなればいい
ということで、風俗店などで埋めて雰囲気を一変させる問題があり、店舗交替をコントロール
する努力を放棄して、補助金を引きだそうとする不純な動機が隠されている。
 例えば、「コンサルタント」:(意訳)1.略、2.大小様々な規模の事業者があるが、バブル後
その棲み分けが崩され仁義なき戦いが進んでいる。大手だからと言って、優秀な人材が
いい提案をするとは限らない。大手といえども担当者が決まれば個人仕事に近くなり、
他の人の成果は引き継がない。遠距離コンサルに頼むと土地勘のないまま報告書が
出来上がったり、コンピュータの一括変換を過信して、九州の計画文書に東北の地名が
登場した笑い話がある。
 405ページもの大部であるが、一気に読み通さなくても、まさに辞書的に活用したり、
時間が空いた時にパラパラと気になる用語を読んでみるのもよい。トイレに一冊置いて、
一日一回にいくつかの項目を読む習慣をつけてもよい。
 実はこの本は著者から寄贈されたのだが、紹介するに足る内容であるから紹介して
いることは強調したい。これはホンネである。石原先生に代わって一言、「ほんま、ええ本
でっせ!」
(井澤知旦)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・名古屋では932年ぶりとなる今朝の金環日食、みなさん見られましたか。
 今朝は子どもの通う小学校が、この日食にあわせて登校時間をいつもより遅らせる
 という粋な計らいがありました。日食用のサングラスは週末には売り切れていたものの、
 手作りのピンホールカメラをつくり、子どもと観察しました。(T.A)

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  を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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