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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)  □[第298号]2011/12/5□  □配信数 791□

スペーシア・メールマガジンの第298号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
  ◆名古屋まちづくり情報◆
  ・「愛知県登録文化財建造物所有者の会」の活動/明治村見学
  ◆図書紹介◆
  ・「赤レンガ近代建築 歴史を彩ったレンガに出会う旅」/佐藤啓子 著
  ◆読者の声◆
  ◆スペーシアのこの頃◆

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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○「愛知県登録文化財建造物所有者の会」の活動/明治村見学○

 先日、「愛知県登録文化財建造物所有者の会(以下、愛知登文会)」の保存・活用講座で
明治村を訪れた。
  国登録有形文化財とは、国指定重要文化財の指定制度を補完するために、1996年に
制度化され、届出制によって、指導・助言・勧告を基本とする緩やかな保護措置を講じる
制度であるが、その存在はあまり知られていない現状である。重要文化財と比べると
登録文化財は数が多く、保存のあり方や有効活用の方向性が曖昧ではっきりとして
いない。そのため、愛知県の登録文化財建造物の所有者は、2011年6月に愛知登文会を
設立し、保存・活用の促進、県民への周知を図るため活動を開始している。現在、愛知
県内には、338件の国登録有形文化財(建造物)が登録されている。
  博物館 明治村は、1965年(昭和40年)に開館し100万uと広大な敷地に、国指定重要
文化財建物10件、愛知県指定文化財建物1件、国登録有形文化財建物53件の計64件が
ある。有名な登録文化財は、フランク・ロイド・ライトによって設計された「帝国ホテル」が
ある。明治村の来場者数は、開館から1991年頃までは、年間120万人前後であったが、
その後、マイカーブームへの対応の遅れやバブル崩壊などによって、来場者が減少し、
2002年には40万人を記録する。その後、来場者は、少しずつ増え50万人弱までに回復
してきている。来場者数が回復するきっかけは、開館30年の1995年から、建物の中を
ミニ博物館として内部展示を見せるものから、建物内部を当時の用途に合わせて、実際に
家具や調度品に触れることができる体験型展示へ変えたことが、回復につながったようである。
  明治村内を巡りながら改修工事の説明を受けている中で、空調設備は費用面で
なかなか整備できず、夏場や冬場のイベント開催は、来場者に暑さや寒さを我慢させる
こととなり、積極的な活用が図れていない現状である。こういった中で登録文化財などの
古きモノを残していくためには、資金が必要となる。そのためには、登録文化財を多くの
方に知ってもらい、利用してもらう機会を増やすことで、建物の価値を理解してもらい、
1人でも多くの方に必要だと感じてもらうことが大切であると感じた。明治村は、明治村と
言う財団法人でも、保存や活用は容易ではない現状があり、個人や企業などの所有する
登録文化財では、さらに容易ではないと伺える。登録文化財などの古きモノは、なくなって
しまえば取り戻すことはできないので、地域住民による利用や資金援助ができる仕組みの
構築が必要とだと感じた見学会であった。
(朝倉卓也)

<関連ページ>
明治村
http://www.meijimura.com/

名古屋陶磁器 愛知登録文化財建造物所有者の会について
http://nagoya-toujikikaikan.org/bunkazai/index.html

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2011/toubunkai/

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「赤レンガ近代建築 歴史を彩ったレンガに出会う旅」/佐藤啓子 著○
   青幻舎/2009年4月1日発行

 赤レンガ建築と聞いて何を思い浮かべるだろうか。北海道庁旧本庁舎、東京駅丸の内
駅舎(2012年6月、保存・復元工事完了予定)、横浜赤レンガ倉庫、水路閣、大阪市中央
公会堂、門司赤煉瓦プレイスなど答えは様々だと思う。この本には、重要文化財から
いつ取り壊されるかわからない名も無きものまで、日本全国にある赤レンガ建築の一部が
写真1枚と200〜300字程度の文章で紹介されている。紹介文が簡潔であるだけでなく、
赤レンガ建築に対する著者の愛情が随所に感じられ、読んでいて心地よかった。例えば、
赤レンガ建築が明治の近代化によって全国に広がったものの、関東大震災の発生や
鉄筋コンクリートの台頭によって50年というわずかな期間に限られたことを「日本の
赤レンガの歴史はジェットコースターのようにドラマチックです。」と表現したり、富岡製紙場の
紹介文の最後を「御年136歳。次なる仕事は、世界遺産登録を目指すことという。」と
結んでいたりする。
  著者による紹介の他に、赤レンガ建築に造詣の深い4名によるコラムなども掲載されて
いる。日本で統一された赤レンガのサイズは、製造工場で働く女性が片手で持ちやすい
大きさを基準にしたという説もあることや、歴史の証人として認識するならば、いたずらに
美化し観光化するのではなく、ありのままもしくは生産・生活的な目的に転用するべき
という考えには感心した。赤レンガに会いに行きたいと思わせてくれる一冊であった。
(山崎 崇)

<関連ページ>
『横浜赤レンガ倉庫』
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2002/akarenga/index.htm

『近代建築物を高級フランス料理店として活用』  (2008年以降、結婚式場として活用)
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2003/kindai/index.htm

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・10月半より約2か月半、週末に事業が続いてきましたが、雨の心配をしながらも概ね
  天候にも恵まれ、ホッとしております。今週末でほぼ、年内の主な事業が終わります。

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