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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第257号]2010/0/05/11□  □配信数 754□


スペーシア・メールマガジンの第257号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
  ◆名古屋まちづくり情報◆
  ・旧東海道を歩く(宮宿〜池鯉鮒宿)
  ◆視察レポート◆
  ・金沢市民芸術村と金沢21世紀美術館を視察
  ◆図書紹介◆
  ・東京R不動産2/東京R不動産 著
  ◆読者の声◆
  ◆スペーシアのこの頃◆

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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○ 旧東海道を歩く(宮宿〜池鯉鮒宿) ○

  近年、まちづくりのテーマとして歴史が注目されている。それも文化財としての歴史を
評価するというよりも、地域の人々に親しまれてきた身近な歴史というものが地域の
個性として重要視されるようになっている。そういう点で昔の街道は多くの人々が往来し、
まちとまちをつないできたという点で重要な意味を持っている資源といえよう。
  これまでも東海道の宿場町については、まちづくりにおいても重要な意味を持つ空間
として、その折々にまち歩きをしてきたが、この連休を利用し、宮宿(名古屋市)から
池鯉鮒宿(知立市)まで歩いてみた。この間の距離は17.1km。昔の人々は東海道
492kmを14〜15日で歩いたというので 1日平均35km。当初はうまくいけば岡崎宿
(+15.0km)まで歩けるかと思ったが、時間的にも体力的にもとても無理。三河八橋の
八橋かきつばた園(かきつばたまつり開催中)まで足を延ばすのが精一杯だった。
  1日かけて歩いてみると、他と比べることによって、名古屋市の町並み保存地区にも
なっている有松の町並みのすばらしさがより実感できる。無電柱化も進められており、
古民家が飲食店などに有効に活用され、まちの魅力アップに貢献している。さらに、
「有松古民家再生プロジェクト」と銘打ち、古民家風の高齢者優良賃貸住宅を新築
するとともに、古民家をデイケアセンターとして再生する試みも進んでいた。
休日だったためか車の通行も少なく、歩いていても気持ちがよい。しかし、地域の人々に
とっては車の通行で不便を強いられるのは困るということだろうか。「旧東海道一方通行
反対」の看板が掲げられており、難しさを感じた。
  宿場町である宮宿、鳴海宿、池鯉鮒宿には趣きのある町家が残されており、東海道
53次の宿場町としての自負のようなものが感じられるが、それ以外の場所にも歴史を
感じる風景が隋所にみられる。舗装を変えたり、遊歩道として整備したり、東海道を
意識した整備が行われているところもみられるが、沿道の建物所有者がもう少し東海道
というものを意識すれば、魅力的な景観が形成されるのにと思われるところも多い。
もしかしたら、自分の家の前の道が旧東海道であることを知らずに住んでいるのでは
とも思ってしまう。
  旧東海道を歩いてみて驚いたのは、昨年島田宿から掛川宿を歩いた時にも感じた
ことだが、同じように旧東海道を歩いている人が結構いたことだ。今回のコースは途中に
取り立てて見所がなく延々と歩くだけのところもあるのだが、何人かとすれ違った。
健康づくりと兼ねてウォーキングを楽しむ人が増えているのだろう。ウォーキングを楽しむ
人々をまちづくりに巻き込むことで、まちの新たな魅力を生み出すことができるのでは
ないだろうか。ウォーキングという視点からまちを見直してみたいと思う。 
(石田富男)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2010/tokaido/

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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 金沢市民芸術村と金沢21世紀美術館を視察 ○

  住まい・まちづくりに係わる愛知のコンサルタントで構成される協議会(通称:まちコン)の
春恒例の視察会で金沢市を訪れた。訪問先は金沢市民芸術村と金沢21世紀美術館。
どちらも金沢市民の文化・芸術の交流拠点の場となっている。
  金沢市民芸術村は、紡績会社の倉庫群であったところを文化芸術活動の場として
再生した施設である。施設内には、演劇や音楽の練習、作品展示や発表、ワークショップの
開催等の文化活動が行える屋内施設のほか、レストランや大広場がある。「市民が主役」
を基本目標とし、公立施設としては珍しく年中無休で利用できたり、市民ディレクター制度を
導入し自主運営の円滑化を図るなどの特色がみられる。屋内施設の利用料金は300円〜
2,000円の間で設定されており、民間の施設に比べ低料金に抑えられている。これは、
「文化芸術の裾野が広がるのであれば」という周辺の民間施設の理解もあって実現して
いるそうだ。運営は、金沢市が毎年約1.5億円程度を投資しており、市が如何に文化芸術の
振興に力を注いでいるかが感じとれる。敷地内には加賀伝統工芸を伝承する「金沢職人
大学校」も併設されており、市民活動の場と伝統工芸を伝承するための学校が同じ場所に
あるというのも非常に面白い。大学校では、板金、石工、大工、造園、瓦など9つの科があり、
生徒は30歳から50歳までの職人が対象となっている。市の出資で開設されているのだが、
学費も無料というのには驚きである。ここでも市の文化芸術に対する熱い姿勢が感じられる。
もう一方の金沢21世紀美術館は、妹島和世、西沢立衛が設計したことでも知られ、今では
兼六園に次ぐ金沢市の顔ともなっている。この美術館には『まちに開かれた公園のような
美術館』という建築コンセプトがあるが、公道から美術館までは芝生の緑地空間となって
おり、また柵なども一切ないため誰でも気軽に立ち寄れる雰囲気がある。建物がガラス
張りのため、美術館側からも車や通行人の姿などまちの様子が良く見え、「まち」と
「美術館」が程よい距離をとりながら相互に良い関係を築いているようにみえる。
  金沢市では「金沢文化振興財団」と「金沢芸術創造財団」の2つの財団を設置し、文化
芸術の振興に努めている。市の体制が整っていることは非常に大きいが、市民を
ディレクターとして迎えるなど特色ある取り組みは非常に参考になった。
(喜田祥子)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2010/kanazawa/

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 東京R不動産2/東京R不動産 著 ○
   太田出版/2010年3月19日 発行

  本書を手にした際に、「名古屋にもこんな不動産サイトがあったら面白い!」と最初に
感じた。「東京R不動産2」は、2006年に出版された「東京R不動産」で住居やオフィスを
借りた方や買われた方が、どのように使っているかを取材した記録本になっている。
東京R不動産は、新しい視点で不動産を発見し、紹介していくサイトであり、一般的な
不動産サイトでは、見つけることが出来ない不動産を発見できるサイトである。
  一般的に不動産を探す際には、築10年以内、駅からの徒歩10分以内、設備の充実
などの条件を、軸にして探すことが多いと思うが、東京R不動産では、どのように住むか、
働くかを軸として、スタッフが感じた空間のイメージを、スタッフの視点でこんな使い方が
できるのではないという説明があり、見ている方にもイメージが伝わりやすい不動産情報が
紹介されている。
  本書の中の一つである「リノベーション天国」というタイトルで紹介されている物件があり、
改装OKのアパートである。この物件は、築45年で全戸85戸のアパートであり、現在では
常に満室状態である。前回の、「東京R不動産」で紹介し、入居者が増加したとのこと。
改装OKと聞くと、退室する際には現状復帰が求められるイメージであるが、この物件は、
改装したまま退室することが可能である。次の入居者がその物件を気にいれば入居する
ことができ、その後、どのような内装にしたいか相談し、自分の住み方にあった部屋へと
変化させていくのである(現状復帰も入居者が望めば可能な範囲で行ってくれる)。
  本書の中でも、実施に改装された部屋が紹介されており、居住者がそれぞれの住み方に
合わせて部屋をデザインしている。このような形態をとることで、単なる不動産価値だけ
ではなく新しい価値が生まれ、本来もつ物件のポテンシャルが生み出されている。また、
大家と居住者の関係も、居住者の改築の相談などに乗ることで、顔が見える関係を
築いている点も、一般的なアパートとの違いである。
  また、アパートだけではなく、2拠点居住をしている物件も紹介されている。2拠点居住は、
仕事がある平日は都心に住み、仕事がない週末は自分の趣味やライフスタイルにあった
郊外に住むというスタイルである。週末だけの生活に合わせた間取りにすることで、
普段の生活より贅沢な空間の使い方ができることも魅力である。
  東京R不動産では、不動産という枠を超えて、様々なライフスタイルにあった物件を
独自の視点で紹介し、地域に眠っている物件に新たな息を吹き込むきっかけをつくっている。
今では、東京だけではなく、金沢、福岡、房総、稲村ヶ崎、山形など地方にもR不動産が
展開しており、今後のさらなる展開が気になる。名古屋でも、同じようなに使われなくなった
物件を活用して、栄にあった「さくらアパートメント」、「覚王山アパート」などのような取組みが
挙げられる。最近では、まちなかを歩いていると古民家を活用した店舗は、比較的多く
見られるようになっている。古民家だけでなく、名古屋にも、ポテンシャルをもった物件が
数多く眠っているはずであり、その物件を見出す担い手がいないだけなのかもしれない。
これからはまちを歩く際には、独自の視点でおもしろい物件を見つけてみようと思う。
(朝倉卓也)

東京R不動産 http://www.realtokyoestate.co.jp/

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・ゴールデンウィークは、高速道路の休日特別割引の恩恵を受けて遠方まで
  車で旅行をした遠出をした所員が何人かいたようです。全国的にも好天に
  恵まれ、お出かけした方も多かったのではないでしょうか。

・発行日が1日遅れてしまいました。申し訳ありません。
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を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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