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 ◆  ■   ■  ■  ■  ■ ■  ■  □[第187号]2007/9/3
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 スペーシア・メールマガジンの第187号をお送りします。
  名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
 
<内容・目次>
  ◆視察レポート◆
   ・佐賀県肥前浜宿の町並み
  ◆図書紹介◆
   ・日本版コンパクトシティ -地域循環型都市の構築−
  ◆読者の声◆  
  ◆スペーシアのこの頃◆

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  ◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 第17回 景観ルックイン「佐賀県肥前浜宿の町並み」○
   主催:(社)日本建築学会都市計画委員会都市景観小委員会 2007年8月28日

  (社)日本建築学会が建築学会大会に合わせて実施した視察会に参加し、佐賀県鹿島市
肥前浜宿(ひぜんはましゅく)の町並みを見学した。肥前浜宿は、有明海に面する川港を
起源とし、江戸時代には長崎街道のひとつである多良(たら)海道の宿場町としてにぎ
わったまちである。2006年には、「浜中町八本木宿」と「浜庄津町浜金屋町」が国の重要
伝統的建造物群保存地区として選定された。2つの地区は浜川という川を挟んで隣り合う
ような位置関係にあるが、地区の性格が異なるため2地区に分けられており、「浜中町八
本木宿」は「醸造町」、「浜庄津町浜金屋町」は「港町・在郷町」として選定を受けてい
る。

   「浜中町八本木宿」は「酒蔵通り」と呼ばれる道沿いに妻入りの大きな土蔵が建ち並
んでいるのが特徴的である。良質な水があり、水運に恵まれたことから、江戸時代から昭
和初期にかけて酒造業が栄え、最盛期には十数軒の酒造元があったということである。

   「浜庄津町浜金屋町」は、「浜庄津町」と「浜金屋町」からなり、あわせて「庄金
(しょうきん)」と呼ばれる。「浜庄津町」は商人・船乗りなどが住むところ、「浜金屋
町」は文字通り鍛冶屋、大工などが住む職人町であった。「浜中町八本木宿」よりもこち
らの方が早くまちが成立していたと考えられている。この地区は、細い路地に沿って並ぶ
茅葺屋根の町家建築が特徴であり、これらは文久元年の大火後、明治期にかけて再建され
たものということである。

  重伝建地区選定に至る前に街なみ環境整備事業を実施しており、ポケットパークの整備
などが行われている。また、市のモデル事業で、宿場から宿場へ旅人の荷物を送り出す
「継場(つぎば)」が修復され、まちなみ案内所として活用されている。

  重要伝統的建造物群保存地区に選定された経緯としては、もともと、住民の有志グルー
プがまちおこしのイベントを開催した時に、外から来た人が蔵や町並みに関心を持ってい
るのを知り、所有者の力だけで建物を守っていくことは無理であるため、国からの補助が
受けられる重伝建地区選定を目指して活動をはじめたのがきっかけであり、その後息の長
い活動を続け、市長も巻き込んだ運動となり、実を結んだということである。しかし、浜
川の河川改修や道路拡幅、住民意向の温度差などにより調整に時間がかかり、保存対策調
査が行われたのが1997〜1998年であるので、選定までに9年かかっている。

  今後、重伝建地区としての整備を進めるにあたり、いくつかの課題がある。まず、現在
の法律のもとでは既存不適格となる伝統的建築物が多いため、修理を可能にするための緩
和条例の制定と、防災性能を向上させる代替措置を検討中ということである。この地区は
準防火地域の指定を受けており、茅葺町家が連続する地区の防火性能の向上などが大きな
課題となっている。また、肥前浜宿というひとつのまちの中に2つの伝建地区があるが、
選定地区のみの保存を進めるのではなく、2つの地区及びまちの中心を流れる浜川、周辺
を含んだより広い地域全体の関係を重視した整備を行うことが、地区をより魅力的に見せ
るためには大切である。そのためには、景観法なども活用していく必要があるという意見
が、視察会後に開催されたパネルディスカッションで出されていた。

  重伝建地区の選定を受けてから、もともと0であった観光客が増加しているという。こ
れからまちがどのように変化していくのか、楽しみである。(伊藤 彩子)

参考資料:(社)日本建築学会都市計画委員会都市景観小委員会による資料、文化庁ホー
ムページ

  →ホームページに写真を掲載しています。
   http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/hizenhama/index.htm

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  ◆図書紹介◆  −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 日本版コンパクトシティ -地域循環型都市の構築− ○
     鈴木浩著 学陽書房 2007.2.25発行

  コンパクトシティの議論が急速に広まっている。欧米では、環境問題を背景に生まれて
きた概念であるが、わが国では中心市街地空洞化をきっかけにコンパクトシティに対する
関心が高まってきた。本書では、このような日本特有のコンパクトシティをめぐる動きの
背景についてわかりやすく解説している。

  筆者は東北地方をベースに「まちなか居住研究会」「コンパクトシティ研究会」を立ち
上げ、さらに福島県における商業まちづくり審議会や「まちづくり三法」改正をめざした
商工会議所の委員会に参加された。その経験を踏まえて整理されている日本版コンパクト
シティの課題は説得力がある。その1番目にあげられているのは、わが国におけるコンパ
クトシティ論へのもっとも直接的な契機となった「中心市街地活性化問題と大型店問題」
であるが、もっとも多くのページを割いているのは「住宅政策とコンパクトシティ」であ
ることに注目したい。
  住宅政策の制度的枠組みの変化について検討するとともに、地域社会再生、地方自治の
発展、人口減少・高齢社会における安全・安心の居住の確立という視点から、「地域居住
政策」という考え方が提起され、具体的な課題としての「街なか居住」についての検討が
行われている。近年のマンションブームについて、コンパクトシティの考え方とそこでの
コミュニティ再生を基礎とした「街なか居住」といえるものかどうか定かではないとし、
「街なか居住」は単なる既成市街地の人口回復策ではないという指摘は重要だ。その他、
都市計画と農村計画の連携の課題についても都市住民として考えさせられる。
  「すでに拡大してしまっている都市をコンパクトに再編できるのか」などコンパクトシ
ティ論でよく出される疑問についても応えてくれている。コンパクトシティについて考え
る上でしっかりと学びたい書である。(石田 富男)

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  ◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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  (みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします) 

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  ◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・前号の送信の際にパソコンのトラブルがあり、送信日が「2004.5.17」となってしまい
  ました。混乱させてしまい申し訳ありませんでした。
  トラブルの原因はホコリがたまったことによってファンが故障してしまったようです。
  パソコンの使用中に突然シャットダウンしてしまい困ったのですが、ネットで検索する
  と同じようなトラブルにあった人の書き込みがあり原因がわかりました。
  ネットには本当にいろいろな情報が掲載されていると改めて思った次第です。(ishida)

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  を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成
  できればと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガ
  ジンに掲載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
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(株)都市研究所スペーシア  編集:石田
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