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統計データの困った話

 仕事柄、統計データをよく扱います。例えば、まちを見るとき、過去の統計データを集めてきて10年、20年など経年的に同じ数値を追って、動向を把握したりします。世間が感覚で言われているまちの変化が数値的にみるとどうなのか、客観的に判断するためにもデータによる分析は欠かせません(データだけで十分かというとそうではないですが・・・)。しかし、最近困ったことにデータそのものがないとか、あっても使えないということがありました。具体例を2つ挙げます。
 ひとつは商業統計の件です。経済産業省が昭和27年から全国の卸・小売業の事業所を対象に行ってきた統計調査で、まちの商店数や年間販売額などが把握できます。3年くらいおきに長らく実施されてきのですが、平成19年以来実施されておらず、次回は平成26年となっています。6年も間が空きます。その間の数値は追えません。代わりに、経済センサスという「経済の国勢調査」とも言われる国の産業構造全体を一斉に明らかにする新しい統計調査がはじまり、21、24年に調査が行われました。それまであった産業分野の統計調査は包含されて、廃止されたり、中止になったりしました。商業統計もこの期間、中止された調査のひとつです。ちなみに経済センサス(24年活動調査)でも商業統計と同じように商店数、販売額は調べていますので、経年的に数値を見たいのであれば、センサスと商業統計をつながればいいのではと思ったのですが、ことはそう単純ではなく、調査が違うために「集計対象が異なる」ので、単純に数値を横並びでは比較できないのです。補正方法も見当たらず、今のところ参考値扱いです。19年から24年といえば、その間にはリーマンショックがあり、経済はとても大きく変動した期間です。なのに、その変化を同じ目線(調査)で追えない、もどかしさがあります。何とかしてほしいものです。
 ふたつ目は、国勢調査など国の調査結果をもとに、自治体が独自に再集計して、学区などオリジナルの細かい地域単位で数値を推計して公表したりしています。昼間人口や先の商業統計がそうでした。また、交通量など自治体が独自に調査機関を雇って、定期調査を行っているものもあります。これらもまちを見るための貴重なデータでした。しかし、昨今の厳しい懐具合が影響してか、そういった独自集計や独自調査を今後止める(もしくはもう止めた)という声を聞きました。大袈裟ですが、データが途絶えるということはまちを見る視点をひとつ失うということで、非常にもったいないことです。単純に切るのは簡単ですが、まちを見る視点を再度見極めた上で、要る調査(統計)、要らない調査(統計)を分類し、体系立った視点から調査(統計)を再考してもらえればと思いました。

(2014.5.29/櫻井高志)