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立地適正化計画について〜都市計画セミナーに参加して〜

 先日、都市計画学会のセミナーがあったので、参加してきた。テーマは立地適正化計画。2014年に改正された都市再生特別措置法で導入された制度である。人口減少が進む中で、持続可能な都市にマネジメントしていくために、公共交通ネットワークを活かしたコンパクトシティを日本中で実現していこうという趣旨である。セミナーでは、制度の根本的な考え方について改めて学ぶことができた。
 かなり乱暴ではあるが、学んだことをひと言で言うと、計画の狙いは、コンパクトシティと言いつつも縮小や縮退などといった都市の形態を変えることではなく、これまで広がり希薄化してしまったまちを、中身の濃い元気の詰まったまちに変えることで、誰もが充実した暮らしができるように変えていくことである。そのために立地適正化計画では、計画の枠組みはあくまで参考に、我がまち、我が地域の将来のまちのあり方を具体的に示す手段として活用すべきということであった。例えば、立地適正化計画では誘導したい都市施設とその区域を記載しなければならず、多くの自治体が頭を抱える課題となっているそうだ。しかし、本質はまちを元気にする、人々の様々なアクティビティを活発にするという発想が重要で、例えば、買い物などの消費、社会的なボランティア、文化・芸術などのクリエイティブ活動、学び、交流・余暇など、そのまちに住む人々の暮らしを充実させるためにはどこで何を密度濃く展開していく必要があるのかを探り、そしてそのために必要なハコや空間、交通などの施設を整備、あるいは既存ストックを活用していけばよいということだ。流れとしては従来のまちづくりの考え方と変わらないが、人口が減少する中ではより一層、地域ごとの狙いと覚悟を明確にする必要性があるということだと思う。具体化が計画づくりの肝なのだが、行政単独で結論を出すのは非常に厳しい課題だと思う。実際にアクティビティの当事者となる住民側の意見や今ある草の根的な様々な動きも捉えてながら検討する必要がある。都市整備の計画と住民のアクティビティの両輪を回していくことではじめて、立地適正化計画が狙うコンパクトシティ実現になるのだろう。
 ここまでセミナーで聞いて考えたことの一部を紹介させていただいた。が、実は弊社では立地適正化計画づくりにはまだ縁がない。今後、機会があれば、是非お手伝いさせていただきたいので、各自治体の皆様、どうぞよろしくお願い致します。

(2016.2.3 /櫻井高志)