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まちづくりと福祉と男と女
  最近、福祉を組み込んだまちづくりをいかに展開していくのかを検討するため、福祉関係NPOとの付き合いが増えてきた。統計的に調べてはいないが、概してまちづくりNPOは男性が、福祉NPOは女性が中心となって組織を運営し、社会活動を展開しているように思える。
 まちづくりNPOは前述したように男性中心のためか、企業社会の延長上で、手続き論に従って物事を進めていく傾向がある。いままで会社で苦労してきたので、第二の人生は理事などの肩書を持ちつつも、あまり責任を負わない擬似会社のなかで生きていこうとしているようである。よって、研究会的・勉強会的ではあるが、リスクを負う事業的なものではない。
 他方、福祉NPOは、自身の親たちの介護の辛さを経験して、若い女性たちに同じ思いを味わわせたくないという動機で活動を始めた女性が多いようである。まさに、「今そこにある危機(苦難)」を解決するために活動しているので、研究会的・勉強会的なものでは役に立たず、リスクを負いながらも事業的展開をせざるを得ない。
ある介護サービスを提供するNPO(関東)の女性理事長は、5億円の資金を調達(借金)して小規模多機能型介護施設を整備しているが、おそらくは担保なしで銀行は貸さないので、個人保障をしている。それでもやり切る度胸と自信があるようだ。また、介護サービスを提供するNPO(愛知)のある女性代表理事は2億円以上の介護事業を展開しながら、元気ハツラツである。いずれも65歳を超えている。

  彼女「私、今、死ぬ気がしないわ!」
 私 「何歳まで生きるつもりです?」
 彼女「いつも、200歳まで生きるわと言ってるの。」 
 私 「(心の中で)それは妖怪だわ!!」

  プロデューサーの残間里江子氏は「それでいいのか蕎麦打ち男」(新潮社)のなかで、団塊世代の男性が定年前後になると、蕎麦打ちや陶芸かNPOの世界に走るほどパターン化して、発想が貧困な引退生活を送ろうとしていくことを批判している。小さな趣味の世界に引きこもるのでなく、いろんな分野の主役に躍り出ろと鼓舞しているのである。
 現役社会でエネルギーを使いすぎたせいか、定年後は枯れた発想しかない男性に対し、これからが私の人生と張り切る女性のパワーは圧倒的である。団塊世代の定年がピークを迎える今年、特に男性諸君がどんな生きざまをするのか、後に続くものとして興味津津である。

*タイトルは、小中高と同級生であった、今は亡き河島英五の「酒と泪と男と女」の歌に因んでいる。
(2006.4.28/井澤知旦)