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時代の転換点で「私たちはどう生きるか」を考える

 【1】重老齢社会
 超高齢社会は良く見聞きする言葉であるが、最近、新聞で「重老齢社会」という言葉を知った(日経新聞20180318)。これは65歳以上の高齢者のうち、後期高齢者(75歳〜)が前期高齢者(65〜74歳)を上回る社会を指している。「老齢をさらに重ねる」という意味であろうか?今年の3月には「重老齢社会」に突入する。この社会では、当然介護が必要な高齢者、認知症を患う高齢者が、劇的に増加する社会となることを意味する。ちなみに前期から後期へと年齢が移行すると、要介護認定比率は3%から23%に増加し、認知症は3〜5%が10%に跳ね上がる。
 個々人や各々家族の問題というよりも、地域としてどう対応していくのかの大きな問題提起なのである。地域空間管理としてのエリアマネジメントがあり、地域福祉システムとしての地域包括ケアがあるが、それらを統合した地域総合マネジメントを構築していくことが必要となろう。
 例えば、空き家を例にとろう。空き家がこれから確実に増加していくが、地域空間管理としてそれを捉えるならエリアマネジメント的アプローチ(空き家の把握と入居者・利用者の斡旋)になるが、他方で、高齢者のための共同生活(ハウスシェアやグループホーム)の場として捉えるなら地域包括ケア的アプローチとなり、それらの統合こそ地域に求められている。

【2】EVシフト
 今、自動車産業は構造転換期にある。主要な自動車メーカーは、○○年までに販売台数の□□%、あるいは△△△万台数を電動車にするとの目標を掲げるようになった。米国カリフォルニア州のZEV法や中国のNEV法がそれを後押ししている。その目標年が2030年まで担っているところが多い。内燃機関が電動モーターに代わるならば、3万点の部品(ある記事では10万点とも言われている。部品の数え方の違いか)のうち4〜5割は電動車によって、部品は不要になる。裾野が広い自動車産業だけに、その影響は多大なるものになろうと予測される。例えば日本碍子のガソリンやディーゼルの排ガス触媒であるセラミックスハニカムや日本特殊陶業のスパークプラグなども不要になる。それに代わる新商品開発が急務となり、危機感を持っている会社は必死になっている。全固体電池や燃料電池の開発に余念がない。トヨタをはじめ大手企業は生き残るであろうが、部品メーカーは開発力を高めない限り、生き残れないのではないか。そうなると愛知の自動車王国は構造的に崩れていかないか?

【3】時代の転換点
 以上のたった二つの事象であるが、これだけでも時代の転換点に生きている気持ちを持つ。これは衰退の兆しと見るか、活性化転換の始まりと見るか?若者にとっては閉塞感を打破するビジネスチャンスにつながっていくのではないかと期待している。本屋では吉野源三郎著の「君たちはどう生きるか」の漫画本が200万部を突破したようだ。他方で、高齢者版「君たちはどう生きるか」改題「私たちはどう余生を送るか」が求められて
いるのではないか。後世に借金でなく、どのような資産を残していくのか、それを問題提起する本をだれか書かないかなあ。「魁より始めよ」と言われてもなあ。

(2018.3.30/井澤知旦)