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アイドル5年、企業20年、まちづくり100年超

《女性アイドルグループの寿命》
  女性アイドルグループの一員だったキャンディーズのスーちゃんこと、田中好子さんが亡くなった。新聞やテレビで訃報や葬儀のニュースが流れている。キャンディーズは1973年9月に歌手デビューし、1978年4月に解散しているので4年7ヶ月の活動期間である。私自身は大学生・大学院生の時期だったので、キャンディーズ世代と一致している。デビューから4曲目まではスーちゃんがセンターを取り、5曲目の「年下の男の子」からはランちゃんがセンターになる。これはランちゃんの「お姉さん」的キャラを支持するファン層が多く存在することを踏まえ、曲名もそれをイメージさせ、メインボーカルも入れ替えた。マーケティングの結果である。解散も絶頂期なので印象深くなるのであろう。
  それから遅れること3年、今度はピンクレディが1976年8月に登場し、1981年3月に解散したので、これも同じく4年7ヶ月の活動期間であった。絶頂期はすごく、オリコンで連続9曲1位、10曲連続ミリオンセラー(出荷ベース)とキャンディーズを大きく引き離した。しかし紅白歌合戦出場の辞退やアメリカ進出により国内での人気は潮が引いたように衰えて行った。マーケティングの失敗であろう。
  ちなみに、おニャン子クラブは1985年4月から1987年9月の解散までは2年半である。アイドル自身が成長し、ファンも成長し、そして新しいアイドルが登場する、こういった循環の中でデビューと解散が繰り返される。基本的に短命である。これに対抗したビジネスモデルが「モーニング娘。」であろう。次から次へとメンバーを入れ替え、成長したメンバーを新鮮なメンバーに入れ替えて、新しいアイドルグループへと脱皮させて、新しいファン層を獲得するものである。その結果、1997年9月のデビューから今日まで、13年7ヶ月(9期で延29名。スタート5名→現在9名)と長い。私自身は4期目(2000年ごろ)までは名前と顔が一致していたが、あとは訳がわからなくなり、無関心となってしまった。

《会社寿命30年説から20年説へ》
  さて企業はどうか。1983年に日経ビジネスが総資産額のランキング分析を基に「会社の寿命30年」説を打ち出した。イキのいい10年、元気な成長の20年としたら、着実な成長と自己変革の30年となるのであろうか。時代に合わせて、収益性の高い事業への選択と集中やグローバル化への対応などが求められる。例えば1904年に設立された日本陶器(現ノリタケカンパニーリミテド)は100年以上経過している。当初のメイン事業である食器事業の売り上げシェアはわずか11%に過ぎない。研削棟の工業機材事業、や電子ペースト等のセラミック・マテアリアル事業、乾燥・焼却炉といったエンジニアリング事業が大きなシェアを占めている。日経ビジネスで「ノリタケはこんなものを作っているの?」と思わせる広告が掲載されている。最近の説では、企業環境の変化の激しさ、求められる製品のサイクルの短さから10年短くなり、「会社寿命20年説」が主流になっているようだ。

《まちづくりのスパン》
  そこでやっと本題。まちづくりはどうか?私は緑区に住んで16年になるが、今年の3月に名古屋環状2号線(専用部名古屋南JCT〜高針JCTと国道302号)と地下鉄桜通線(野並〜徳重)が開通した。前者は1957年の都市計画決定から54年(部分開通)、後者は1972年の都市交通審議会答申から40年近くを完成までに要している。当然まちづくりにも流行はつきもので、人口成長の時代は都心部の空洞化とスプロール、人口衰退の時代は中心市街地活性化とコンパクトシティ等がある。しかし、都市空間(ハード)は一旦形成するとなかなか再構築しづらい。よって相当時代の先を見据えて対応することが求められる。今回の東日本大震災によって、まちづくりの基盤はしっかりと押さえるべきであると再確認させられた。地震・津波・豪雨などの自然災害は100年、200年(あるいはそれ以上)のスパンで対応すべきものとなった。まちづくりには「寿命」はなく、「受命」がある。生成・消滅ではなく、生成・受継(うけつぐ)・蓄積していくものであろう。謙虚に歴史を学び、それを未来に活かしていく能力が求められている。

(2011.4.25/井澤知旦)