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名古屋港イタリア村

 中部国際空港と愛知万博と中部の二大プロジェクトが実現し、名古屋圏には新たなスポットが次々に生まれている。名古屋港にも新しいスポット「名古屋港イタリア村」がオープンした。名古屋港管理組合と民間のセラヴィリゾートが手がける名古屋港イタリア村株式会社が2004年7月に事業契約し、2005年4月より15年間のPFI手法を活用したプロジェクトである。

 イタリアの古き良き時代(1950年代)の街並みを、港の倉庫を活用して再現している。「イタリア村」という名称からはテーマパークを想像させるが、基本的にはイタリアの輸入ブランド品や食品などを扱うショッピングモールである。

 ゲートをくぐると、エントランスゾーンにイタリアからの日本初輸入のブランドをはじめとするショッピングの店舗が並ぶ。敷地の奥には、倉庫を活用したショッピングゾーンがある。ファッションだけでなく、チーズ、パスタ、ワインなどの食材も充実している。敷地の中央ではベネチアの運河を再現し、ゴンドラを運行している。写真を撮ると、まさにベネチアの風景だ(でも、色は本物のベネチアと比べると鮮やか過ぎるかもしれない)。オープン直後から週末はとても混雑したため、しばらくしてから土・日・祝日のピーク時には、1000円の「名古屋港イタリア村お買い物券」を購入しなければならなくなった。その盛況ぶりは、週末の夕方の名古屋都心と名古屋港を結ぶ地下鉄の混雑を見てもうかがえる。

 このように盛況なイタリア村だが、惜しいのは、港という平坦な地で倉庫を活用した新しい施設であるにもかかわらず、1階に“わざと“段差をつけたことにある。事業者が都心の飲食店を幾つも手がけていて、そこで使うようなデザインを取り入れたのであろう。都心の空きビルなどを活用する時には段差が出てしまうのも仕方がないが、元々倉庫であったのだから当然バリアはなかったはずである。また、エントランスゾーンからショッピングゾーンに行くのにも、運河にかかる橋(=急勾配の階段)を渡らなければならない。車いす使用者のためには申し訳程度に段差解消の機械が橋に設置されているが、混雑時には職員を呼び出してまでこの橋を渡る気にもなれない。ショッピング自体は1日でも楽しめるし、夜も雰囲気が良く、名古屋港の活性化が期待できる。それだけに、このような人が回遊しにくいデザインを取り入れたのは残念だった。

 最近、イタリア村に行った人に聞いた話だが、インフォメーションで、ベビーカーや車いすの人の為のマップを手に入れることはできるそうだ。
 しかし、マップを手にしたところで、実際に運河を渡るにはスタッフを呼び出さなければならない。入口側はインフォメーションがあるが、対岸はインフォメーションらしきものがないので、混雑の中からスタッフを探さなければならない。運河の乗り場の外側から誘導してくれるが、それは職員用の通路か何かで一般の人は通れない。 
 また、運河にかかる橋についている昇降機は地下鉄の階段にあるような車いすのまま乗れるタイプではなく、住宅用のように人だけが乗るタイプである。車いすの人は利用できない、ましてやベビーカーの人にも不要である。しいてあげるなら、杖を使っている方なら利用できるかもしれないが、雨の日には利用しにくいだろう。
 あまり意味のない昇降機をつけるくらいなら、隣の駐車場用地を少し削るなどして迂回路を確保するべきである。敷地は十分大きいのだから。



イタリア村の中央の運河

 

イタリア村の中央の運河


ショッピングゾーンの段差


運河にかかる橋


入口ゲートの雰囲気


昇降機の写真


(2005.5.12/浅野 健)