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「南蔵」(みなみぐら) 
〜みそ・たまりをつくり続ける武豊町の蔵元〜

 名鉄「知多武豊駅」には、特急を利用すれば名古屋から約30分で到着する。駅から15分程歩くと、「南蔵」のある里中地区だ。「南蔵」は、明治5年創業のみそ・たまりの醸造元であり、付近には他に5、6軒の醸造元があるが、かつては50軒程もあったという。周辺は、コールタールが塗られた黒塀が、うねうねと続く細い路地に沿って並び、伝統的な蔵元の町としての風格を醸し出している。

 「南蔵」は、今は四代目「青木弥右エ門」が受け継いでいる。5棟ある蔵には、明治や昭和初期につくられたという巨大な杉樽が並んでおり、その眺めは圧巻だ。古い樽や蔵でなくてはつくれないという、無添加のみそ・たまりをつくり続けている。豆みそは、機械化された工場なら約3ヶ月で醸造するが、ここでは1〜3年の期間をかける。商品は全国に出荷しており、天然食品の店などに置いてもらうことも多い。ホームページ上での販売も行っている。自然食ブームに乗って、最近売り上げが伸びているそうだ。値段は豆みそ500gで700円と安くないが、地元にもファンが多く、町から遠くに引っ越した人でわざわざ注文する人もいるという。味の違いは、「わかる人にはわかる」のだという。

 岡崎の八丁味噌をはじめ、丹精込めてつくる伝統の味が見直されてきている。値段の安さだけで量産品を選ぶのではなく、品質がよくて安全な食品を適切な値段で求める消費者の存在が、伝統の味、そして町を守っていくのである。


みそ蔵の内部。古い杉樽が並ぶ

みそ蔵の外観

(2002.2.7/伊藤 彩子)