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みんなの森フォーラム/岐阜市

 岐阜市では、中心市街地に位置する岐阜大学医学部等跡地において、(仮称)中央図書館や市民活動交流センター等を中心とした複合施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の整備が平成27年度の開館を目指して進められている。先日7月31日に工事に着手したことを記念し、同日午後に「みんなの森フォーラム」が開催された。出演者は、ファシリテーターを岐阜出身のアーティストである日比野克彦氏が務め、パネリストは世界的に著名な建築家で施設の設計者である伊東豊雄氏、岐阜県から選出の衆議院議員である野田聖氏、長野県小布施町立図書館の前館長であった花井裕一郎氏、愛知県岡崎市の図書館交流プラザLibraの計画時から運営に至るまで関わられた三矢勝司氏、そして細江岐阜市長が務めた。豪華な顔ぶれということもあったが、このフォーラムで語られた内容が公共施設のあり方について示唆に富んでいたため、今回紹介したい。
  第1部のパネリストトークでは、市長が「人が元気になり、いつも楽しいことが起こっている拠点づくりを目指したい」と語られたことを皮切りに、パネリストが1人ずつお考えを披露。
  伊東氏は、人と人、内と外の「つながり」を意識した建築の考え方を説明され、「2分の1の消費エネルギーで2倍楽しめる施設にしたい」、「県産材を使って木の香りを味わいながら、テラスで風を感じながら読書ができる施設にしたい」などと語られた。
  花井氏は、長野県の小布施町で図書館「まちとしょテラソ」の館長の公募がされ、マスコミから館長に転身されたことをまず紹介。図書館について一から勉強しながら、2年間で50回以上のワークショップでの検討を重ね、例えばおしゃべりしてOK、子どもがスキップしてもOKなど従来の図書館であれば「禁止されていたことを禁止する」、誰もが気軽に利用できる図書館づくりを目指したことなどを語られた。
  三矢氏は、市民と行政の対話の中でつくりあげた「岡崎市図書館交流プラザ」について紹介された。中央図書館をはじめとする公共空間の活用を進める中で、施設を飛び出して周辺の「まち」でも小さな学びの場が幾つも起こっていることを波及効果として語られた。
  野田氏は、この施設に集う人たちが絆をつくり知の積み重ねをしていく拠点になることをもっとアピールするべきだと話され、特にグローバル化と少子化が進む中で子ども達がしっかり生きていけるように市民全体で育てていく拠点づくりを目指して欲しいと述べられた。さらに、堅苦しくなくリラックスできる公共施設を目指して、空間としては代官山の蔦谷書店のような場所を、サービスとしては図書館に来る人を「お客さん」という意識で対応すべきだと語られた。
  第2部のディスカッションでは、日比野氏の進行のもとでパネリストが2人ずつ中央のステージに交代で立って、1対1で計6回のディスカッションを繰り広げた。短時間で小気味いい話が展開され、最後にコーディネーターの日比野氏が、工事の完成を待たずして私たち市民と行政が交流しながら施設の交流や活用の方法を考えていくべきだと締めくくられた。
  この施設が建設される場所は、岐阜市中心部の北側で金華山を北東にのぞみ、清流長良川からもほど近い。立地条件もよく、フォーラムで語られたように市の新たな財産として期待される施設である。どのように運営され交流の拠点となっていくのか、今から完成が待ち遠しい。

(2013.10.3/浅野 健)
→関連ホームページ 岐阜市の該当ページ
http://www.city.gifu.lg.jp/13422.htm