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各務原市の景観計画 〜景観地区「グリーンランド柄山」を訪問して〜

  都市住宅学会の見学会で岐阜県務原市を訪問した。各務原市の景観計画は、市内全域が対象となっており、市内を「森の風景区域」「川の風景区域」「田園と歴史の区域」「まちの風景区域」の4区域に分け、それぞれに方針を定めて景観形成が図られている。また、9つの重点風景地区と2つの景観地区が指定され、重点的な取り組みも行われている。
 今回の視察のメイン見学地でもあった「グリーンランド柄山」は、景観地区に指定されている。自治体が観光地ではない一般的な住宅地を景観地区に指定するケースは珍しく、「グリーンランド柄山」は東京江戸川区の住宅地(既存住宅地)に次いで2例目、分譲住宅地としては全国で初である。景観地区に指定されたきっかけは、土地を分譲しているハウスメーカーが独自のルールで景観づくりを行い、住民もその景観を保全していきたいという思いがあったため、市と相談し景観地区に指定されるに至った。景観形成基準では、高さ・色彩、壁面後退、敷地面積、意匠形態が定められ、基準で定められていない緑化や外溝、維持管理等についてはガイドラインの中で示されている。
 実際に現地を訪問してみると、外観は落ち着いた配色で統一され、緑が多く、ゆったりとした良好な住宅地であった。特に特徴的だったのが電線の裏配線である。緑豊かな自然景観の形成を図るため、電線類は住宅の裏側から配線され、電柱の数も必要最低限に留められている。また、住宅の裏側には歩行者専用通路が設けられ、住宅ごとに分断されるのではなく、住宅地全体で一体感が出されていた。新しく開発された住宅地において、このように景観地区と定めて住宅地の景観を保全していくことは、住民の生活や住環境、コミュニティを豊かにするだけではなく、今求められている持続可能な住宅地を実現する要素としても大きな意味を持つのではないだろうか。
 各務原市では、重点風景地区や景観地区以外にも、木曽川を挟んだ隣に位置する犬山市と「木曽川景観協議会」を設立して木曽川の景観保全に努めるなど、興味深い景観計画が進められている。このような取り組みにも今後注目していきたい。


グリーンランド柄山、住宅地内は緑が多くゆったりとしている


電線が集約化され住宅裏に設置されている電柱


住宅と住宅の間にある歩行者専用通路

重点風景地区に指定されている中山道鵜沼宿地区

(2009.3.16/喜田祥子)