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大須301イベントでの「お店のやさしさ調査」から
〜人にやさしいまちづくりにおける継続的な試み〜
  先日のメルマガで、6月中旬に行われた「大須301ビル」の地域貢献イベントの第一弾「健康フェア」のことが紹介されたが、この時に、NPOの持ち込み企画として、大須商店街のお店のやさしさ調査を実施した。「人にやさしいまちづくり(いわゆるハード&ソフトのバリアフリー)」の視点から、大須商店街に訪れた人たちに協力を呼びかけ、「お気に入りの店の発見とその店のやさしさ度」を調査しようというものである。
 調査の目的の一つは、これまでこの種の取り組みが、障害者をはじめ人にやさしいまちづくりの必要性を感じて取り組んでいる人など限定的であったため、今回は一般の人たちへの普及を試みたことがあげられる。もう一つは、やさしいお店ということが情報として紹介できれば、大須に出かけたいと思う一般の人たち、お店側と双方のためにもなるという点もある。
 具体的には、「大須301ビル」の1階テナントの沿道スペースをお借りして、調査票とメジャーを配付し、実際にスタッフが乗っている車いすの幅や地面からアームレスト(肘掛)までの高さをメジャーで計測してもらった後、商店街のお気に入りの店に入って、お気に入りの食べ物・商品やお店のやさしさ度など簡単な調査をしてきてもらった。
 当日は、用意した100枚の調査票とメジャーを配りきり、37人の調査協力を得られた。この結果については現在整理中で、今後、NPOのホームページで紹介する予定である。

 ところで、この企画を主催したNPOへは設立当初から関わり、丸5年が経過した。設立時より毎年愛知県の人にやさしい街づくり連続講座を受託し、市民主体の講座運営を行い、講座修了者の中から約160人の「人にやさしい街づくりアドバイザー」を送り出してきた(この講座自体は1995年から開催され、850人以上のアドバイザーを輩出)。この他にも、地域セミナー、まち歩きワークショップ、小・中・高校での授業とそれを通じた教育読本づくりなどの様々な活動を展開してきた。
 一方、まちの変化に目を向けると、本格的な少子高齢社会を迎え、2006年の新バリアフリー法の制定など法制度が整いつつある中で、鉄道駅や建築物などのバリアフリー化が進んできた。しかし、近年整備された施設であっても、ディティールで不十分なケースが多々見受けられる。
 今回の「お店のやさしさ調査」では、一般の人を対象に普及啓発を試みたものであり、これは今後も続けていくべき取り組みである。さらにもう一歩踏み込み、施設の施主や設計者への普及ができると、まちなかの様々な施設が使いやすくなる。人にやさしいまちづくりの普及啓発については、今後も継続して行われなければならない課題だと考えている。

(2008.8.4/浅野 健)