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 パラサイトシネマ
                  名古屋市
  夜間閉鎖される地下への階段スペースを、屋外ミニシアターとして有効活用する「パラサイトシネマ」と呼ばれる新しい試みが11月14日から行われている。名古屋の中心部では地下鉄の終電時刻よりも先に封鎖される地下街の出入り口が多くある。地下街が発達していて地上よりも地下を歩く人の方が多い、店舗の閉店時間が早いという名古屋独自の特徴もあってか、地下鉄に乗ろうとして閉鎖されている地下街への階段を覗き込む人々の光景が多くみられる。この光景からヒントを得て企画されたのが「パラサイトシネマ」で、若手芸術家を支援する「アート・まちなか活性化事業」として愛知県が主催し、名古屋建築会議が企画・製作している。

 11月18日にオアシス21会場で開催された「パラサイトシネマ」を訪れた。21時以降の利用者が少なくなる地下街への階段に置かれた赤と黒の座布団に座り、プロジェクターで映された壁面の映像を観るというものである。この日は「ジャパンデジタルアニメーションフェスティバル2005優秀作品」が上映されており、利用者の少なくなった階段空間がミニシアターとして有効利用されていて非常に興味深い試みだと感じた。2007年1月27日まで2会場で各5回の開催予定であり、毎回異なるコンテンツが上映される。最後の第5回では一般公募作品の上映を行う予定で、映像作品を募集している(2007年1月9日まで)。

  また、この試みは名古屋工業大学北川研究室の学生たちが中心になって取り組んでいる。プロジェクター・ノートパソコン・スピーカーを接続した「パラシネツールボックス」や、特製座布団を自作するなど、学生のアイデアとパワーが発揮されている。実際に取り組んでいる姿やブログの記事を見ると、彼らが楽しんで取り組んでいることも感じられ、非常に好感を持つことができた。

  公共空間の使用許可なども関係し、現在は名古屋大学構内とオアシス21内という特定の敷地での実施であるが、今後は会場を拡大していき名古屋から発信する映像フェスティバルを目指しているという。当初想定していた歩道上の一般的な地下街出入口での実施が可能になれば、「パラサイトシネマ」を覗き込んだり、立ち見をする人などがもっと多くなると思う。「パラサイトシネマ」と、まちに対して積極的に取り組もうとしている学生たちの動きを今後も注目していきたい。

(2006.11.27/山崎 崇)