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都市は移り変わる
 名古屋の都心は、いくつかの開発プロジェクトが進んできている。名古屋駅前の豊田毎日ビルや牛島南地区の再開発事業で、高容積を活かした超高層ビルの建設が一つである。他方、栄地区では三越南館や松坂屋南館増床の再開発であり、周辺の都市景観への配慮が見られる。
 さらに、高容積指定(800%)でありながらも、低容積(100%)での利用を図ったクロイゾンスクエア(旧安藤七宝店)がある。テナント入居を前提とした高容積ビル建設では、日本経済の動向と同時に名駅VS栄の競合がその入居を左右することになり、長期経営のリスクを排除しつつ、南大津通の立地や自己所有の土地や蔵という資源を活かした、低容積という付加価値(特徴ある敷地環境)による活用方策の事例である。
 最近、このような再開発や建替えに対し、コンバージョン(用途転換)という手法で再生を図る事例が徐々に増えつつある。さくらアパートメントの事例はすでに述べた(NO.25)。今話題になっているのは、広小路通と大津通交差点の北西角の日本生命ビル1階がティファニーというブランドショップにコンバージョンされた例である。従前は銀行であった。銀行の統合による余剰店舗の用途転換である(既に大津通に立地しているプラダも銀行店舗の用途転換)。もう一つは、たびたび新聞等で取り上げられる長者町繊維街にあるゑびすビルである。従前は問屋ビルから倉庫に転用されて、今回のファッションをテーマにした商業ビルにコンバージョンされた。1階はカフェバー、2階は書店、3階は雑貨や衣料品、4階はデザイン事務所等が入居している。このような1棟まるごとの用途転換はここだけであるが、これが複数棟になり、集積していけば、独特の雰囲気をもつ“界隈”として再生していく可能性が見いだせる。コンバージョンはある意味、その建物、その地区の歴史資産を引き継ぐ一つの手法であろう。
 地価(家賃)の下落が、いままで都心に立地できなかったテナントの入居を可能としている。そのパワーのベクトル合わせしながら、まちづくりを進めていく時代に入ったと言えないだろうか。                              
(2003.2.23/井沢 知旦)