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伊勢河崎商人館を拠点とする
”伊勢の台所”のまちづくり
 伊勢河崎は、伊勢神宮より海に近いところにあり、勢田川の水運を利用して江戸時代には問屋街として発展したところである。参宮客で賑わう宇治・山田地区に大量の生活物資を供給する台所の役割を果たしていた。戦後になって水上輸送から陸上輸送に変わるにつれ、河崎は衰退していったが、今でも蔵が何ヶ所か残っていて、往時の雰囲気がある。
 1974年の洪水を契機に始まった勢田川改修問題が発端で、河崎のまちなみを保存する動きが生まれ、様々な活動を行ってくる中で、1999年には既存のまちづくり団体が共に活動する組織としてNPO法人伊勢河崎まちづくり衆が設立された。その拠点的施設として2002年にオープンしたのが伊勢河崎商人館である。

 江戸時代から酒問屋を営んでいた商家の建物の寄贈を受け、伊勢市が敷地を買収して修復改修を行い、NPO伊勢河崎まちづくり衆が運営している。2001年には国の登録有形文化財に登録されている。蔵7棟、町家2棟など、延べ1000uの建物を、伊勢と河崎の歴史を紹介する河崎まちなみ館の他、雑貨・食品を中心とする貸店舗、イベントホール、会議室などに利用している。周辺では商人館の他に飲食店、美容室などの店舗に生まれ代わった蔵などもある。また、勢田川沿いには、宇治山田港湾整備計画の開発事業のひとつとして、川の駅が2003年7月に整備される、という動きもある。

 休日ということもあり、観光ボランティアもいて、まちなみ保存・活用の視点では、ハード・ソフト両面の取組により成果を上げつつあるようだ。だが、商人館の建築的な価値という点で、壁の新旧部材の継ぎ目の荒さ、改修に合わせてバリアフリー化されていない点などは少々気になる。また、商人館の貸店舗では都市部でもよく見かける雑貨等の品揃えだったり、周辺の店舗も日常生活品の店舗が多く、外からの客をターゲットとした店舗や飲食店が少ない。
 地域に根ざしたという取組として視察地の候補地にはなりうるだろが、都市でも里山でもユニークな取組が幾つも行われている状況の中、再度、足を運ぼうという気になるにはもう一工夫必要か、と感じた。 

伊勢河崎のまちなみ

河崎商人館の商人蔵(雑貨、食品等の販売)

(2003.1.30/浅野 健)