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公共空間の公民パートナーシップと
地域共同管理実験としてのオープンカフェ

  情報誌もカフェ特集を組むこのごろ、名古屋都心ではカフェが増えてきている。とくにスターバックスの広小路通での急増は目を見張るものがある。そして、屋外でのカフェテラス形式のカフェやレストランも増加している。カフェは近代の「公共」概念を実現した場との指摘もあるように、自由で開放的なコミュニケーションの場となっている。
全国的に道路や公園等の公共空間を活用してオープンカフェを実施する都市が増えてきた。広島市、大阪市、横浜市、千葉市、そしてもちろん名古屋市もそうである。
 名古屋の都心は百メートル道路に代表されるように公共空間比率が他都市よりも高い。このストックを生かさない手はないし、生かしてこそ名古屋の特色ある景観と賑わいを創出できるはずである。昨年の10月、なごや祭にあわせて、わずか3日間であるが、久屋大通の歩道を使ったオープンカフェの実験を行った。ヨーロッパで見られるオープンカフェは飲食店と連続して椅子やテーブル、パラソルが置かれるが、今回、車道沿いにそれらは並べられた。なぜなら、現在の日本の法律、すなわち道路法、道路交通法、食品衛生法ではそのような設備の設置と飲食のサービスが認められていないからである。苦肉の策として、道路管理者が歩行者休憩施設として椅子やテーブル、パラソルを歩道に設置し(休憩なら椅子と日よけのパラソルでよく、テーブルは不必要。よってテーブルはテーブルでなくパラソルの支え台と解釈する)、利用者が飲食店からテイクアウトしたり、自販機から飲料購入して、オープンカフェを利用するというものである。それでも多くの利用者があり、利用者の9割近くから高評価を得ているのである。
 今年も、昨年の反省を踏まえ、実施していく予定である。期間を長くし、設置個所を増加し(半公共空間である公開空地の活用など)、ビニールのパラソル、プラスチックの椅子・テーブルでなく、布や木などを用いてオープンカフェの質を高めるなど、発展的に取り組んでいきたいと考えている。
 これまで、公共空間は整備水準を高め、効率性、安全性を追求するために「公」によって一元的集中的に管理されてきた。それによって公共空間の整備・管理の体質は「官の全支配観念と全責任観念」「民の依存」であったと言われている。また公共空間は「本来的使用」(例えば、歩道での歩行)を前提とし、それ以外(例えば、歩道でのオープンカフェ)は許可等が必要となる。利用する市民のニーズは多様化してきているが、管理システムがそれに合致していないのである。
 オープンカフェの実験は「公」が「共(用空間)」を管理する「公共空間」から、「私」が管理する「私共(わたしどもと読もう)空間」への管理運用実験である。地域共同管理の力量が「私」に問われる。地域(例えば、商店街)が道路管理者と協定を結んで、清掃・収納・放置自転車への対処、植栽などの手入れなど、自主管理していく体制をとる必要があろう。まさに地域と行政の連携(パートナーシップ)を追求していくべきであろう。「オープンカフェは名古屋」を期待して。

注:昨年の名古屋でのオープンカフェの実験結果は下記のホームページへ
   http://www.nagoyanet.ne.jp/cafe




(2001.6.18/井沢知旦)